▽living_やまと ページ6
やばい。
まじで本格的にやばい。
ぼん「このまま行くとやまとは家なき子だな〜(笑)」
やまと「まじ笑えねえから…。」
事務所兼自宅として利用していた部屋を出る日程は決まっている。ただ、次の部屋が決まっていない。
できれば間取りは、作業部屋と仮眠室ともう一部屋欲しいから3LDK以上で、泊まりも多いし風呂とかでかければでかいだけいい。
幸い資金はある。
ただ、部屋がない。
どうしても地元からは離れられないし(離れたくないし)、立地に対して部屋がない。
ぼん「YouTuber禁止って言われちゃったら、ねえ(笑)」
なにより、契約ができない。
やまと「法人契約しないとだけど、そーすると仕事内容で引っかかるし、どーすっかなー…。」
一縷の望みをかけて、地元の不動産屋へ飛び込んでみたら、俺の前に若い女の人が座っていた。
やまと「あ、えーっと予約?とかしてないんですけど相談大丈夫ですか?」
『どうぞ!Aさんすみません、もう社長くるんでちょっとだけお待ちください。』
カウンター席に通されると、Aさんと呼ばれた女性は奥のソファに腰掛けていた。
『…その条件だと、この付近のエリアはなかなか厳しいですねえ…。』
やまと「ですよね…。」
代替案として、都内寄りだったり郊外寄りのエリアの物件を紹介してもらったがどこも条件はいまいち。
ここもだめか…。
「いいとこあるじゃん、ここで。」
物件を紹介してくれているお兄さんの背後からすっと手が伸びてきて、路線図を指差す。今いる俺らの地元のエリアだ。
…さっきのお姉さん?いつのまにかカウンターの中にいた。
『勘弁してくださいよAさん…、怒られますよー…。』
「ここらのエリアは私のだから、平気でしょ?都内だとアレだけど…。お兄さん、住むとこ探してるんですか?」
Aさんと呼ばれる女性は、女性というにはまだ幼さを残したような笑顔で俺に問いかけた。
やまと「探してます。事務所と撮影場所としても使用したいです。」
「用途も大丈夫なはずだし、こことりあえず案内してあげてよ、ね?」
『わかりました。とりあえず社長に連絡入れますね。』
お兄さんは渋々折れたように一度カウンターの中へ。
それからトントン拍子で事務所兼自宅が決まり引っ越しも決まった。
あの子は、何者だったんだろう…。
謎だけが残って、俺はあの子のことをなにも知らないまま、何も変わらない新生活がスタートした。
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作者名:aki | 作成日時:2022年3月24日 20時