▽wearing_ゆうた ページ2
よく行く古着屋。
立地も、値段も、接客も。
なにより、ここの古着屋独自の仕入れルートで仕入れる古着の品揃えが大好きだ。
吉祥寺駅からは少し遠い。
コインパーキングからも3分程歩く。
住宅街の中に佇む小さなお店。
知る人ぞ知る、とはよく言うけど、本当に体現しているようなお店。
ゆうた「こんちは。」
「ゆたくん、いらっしゃい。」
落ち着いた雰囲気のクラッシックやジャズがが流れている日があれば、流行りの邦楽やラップがが流れているときもある。
時間の流れを忘れるような、そんなお店。
「好きそうなの、ちょうど昨日入ったの。見ていってあげて。店長も喜ぶだろうから。」
Aさんの適度な距離感の接客も好きだ。この人特有の独特な雰囲気とか、話し方も好き。ゆっくりなのに、遅すぎず、落ち着く声。
ゆうた「Aさんのおすすめはハズレないからなあ。またいっぱい買っちゃうな。」
おそらく歳は同じくらい、いや、俺より上かな?…下の可能性もある。
何にしろ、俺は彼女について知らないことが多すぎる。
よく行くお店の、いつもいる店員さん。
ゆうた「このパンツと、あとこっちのスウェットもほしいです。」
「これは?このシルバー、あんまり入らないんだ。ゆたくんに似合うかなって思って取り寄せてみた。」
今選んだ服とぴったりのシルバーのネックレスとリング。シンプルなのに目新しいスタイル。
ゆうた「うわっ、ほしい…。」
「ちょっと高いけど、多分またしばらく来れないデショ?」
ゆうた「うん…。」
ここのところ、仕事が忙しくて来れても2〜3ヶ月に1回。前は月2〜3回以上のペースで通っていた。
「どんな服でも合うと思うよ。ちなみにペアのピアスもありますが?(笑)」
悪戯に笑ったAさんの手からアクセサリー類を受け取る。
ゆうた「…追加で。」
「いつもご贔屓にありがとうございます。」
丁寧に梱包された袋の中からガサゴソとピアスだけ取り出して、片方だけAさんに手渡す。
「くれるの?」
ゆうた「きっとAさんにも似合うし、俺こっちしか開いてないんだ。」
「そうだったね。ありがと、つけるね。」
じゃあまた、と店を出て車に乗り込んでピアスはすぐに付け替えた。
次のオフはいつだろうか。Aさん、ピアスつけてくれるかな。
あのお店からの帰り道は、いつもAさんのことで頭がいっぱいだ。
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作者名:aki | 作成日時:2022年3月24日 20時