フラクタル構造とはなんぞ？２

君の為(ymmt) ページ33

彼の好きな食べ物と言えばお寿司、だけど今日も遅くまで仕事らしい彼と食べに行くのは少し難しい。テイクアウトも考えたけど、せっかくの誕生日なのだから少し特別なことをしたい。

前もって有給休暇を取得したことは彼には内緒。夜に家で会う約束をしているから朝から部屋の掃除と、買い出しと予定はぎっしりと詰まっている。

「先にこれを終わらせて、それからスーパーに行くでしょ」

脳内でスケジュールを立てる。全ては彼に喜んでもらいたいから。








誕生日だからと言って休みが取れるほど、社会人は甘くない。沢山の人にSNSでお祝いしてもらって、会社のみんなからお祝いしてもらって本当に幸せだと思う。

でも、１番祝って欲しい彼女は少しだけ寂しそうな顔をしていた。どこかでディナーでも、と提案してくれたけど、仕事が長引くかもしれないから、と断ったから。

「じゃあお家でお祝いしよう！」

と笑ってくれたけど、嬉しかったけど、なんだか我慢させちゃったかなって。僕だってAと色んなところへ行きたいけど、なかなか難しい。

「あれ？」

インターホンのボタンを押しても反応はない。電話を掛けてみても呼び出し音が返ってくるだけ。

「まさか、ねえ」

もしかしたら愛想を尽かされたかもしれない、そんなことあってほしくはないけど。数年前に貰ったキーケースから合鍵を取り出して鍵を開ける。

「A？居ないの？」

電気は点いているし、微かに良い匂いがしているから居るはずなんだけど、返事はない。リビングのドアを開いても彼女は見当たらない。

「どこ、、あ、」

ソファーでうたた寝する彼女を見付けてほっとする。テーブルの上には沢山の料理が並んでいて、真ん中には海鮮をあしらったご飯のケーキ。

「ん、、よしくん？」

「A、僕の為にお寿司のケーキ作ってくれたの？」

「うん。気に入ってくれた？」

「もちろん！！早く食べたいなあ」

「んふふ、よしくん誕生日おめでとう」

「ありがとう！」






▽▽
ymmtさんお誕生日記念。サーモンやマグロでお花を作っている酢飯を使ったお寿司ケーキをイメージしております、、伝わります？

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