似合うかな?(nb) ページ40
彼女の買い物に付き合って試着室に入った彼女を待つ彼氏の気持ちは「早くして」より「ここで待っていてもいいの?」の方が圧倒的だと思う。
店内をウロウロするのも違うし、かといって店の外に出るのも違う気がするし、、ほんとこの時間だけはいつまで経っても慣れない。
「ノブ、どうかな?」
「ん?おっ、似合うじゃん」
試着室のカーテンを開けたAは少し不安げに俺を見る。小柄な彼女がワンピースを着ると丈が微妙に長すぎたりすることがあるから毎回試着するようにしているらしい。
今回も柄が気に入ったけど丈が心配、と言っていたがそれは杞憂に終わりそう。実際には見た目変ではないし、新しい服はこちらもテンションが上がるからこのまま買い取りでつれ回したい気分。
「変じゃない?」
「変じゃないよ。めっちゃ良い」
「じゃあ、買っちゃおうかな」
えへへ、と笑う彼女を見たら俺も嬉しくなる。再びカーテンの奥に消えた彼女。自社アプリを起動させて暇を潰す。
新しい服を着た彼女と次にデートするならどこかな、なんて妄想を繰り返す。映画もいいし、水族館もいいな。ピクニックはまだ暑いか、なんて考えていればスマホ画面にはLOSEの文字。
負けたけど気分が良い俺は別に悔しくなんてない。
「お待たせ!買ってくるね」
「うん、じゃあ外で待ってる」
後は会計だけだから店の外に出る。ふと、隣の店の帽子屋が気になって足を向ける。黒い麦わら帽子がAに似合いそうだな、と気付いた時にはレジに並んでいた。
「贈り物ですか?」
「あ、、いえ、」
綺麗に包んでもらいたいところだけど、店の外で俺を探すAの姿を見つけてしまったから早く行かないと。丁寧に出口まで紙袋を持ってくれた店員さんからありがとうございます、と紙袋を受け取って彼女の元へ急ぐ。
「A」
「あっ!もう、どこ行ってたの?」
「ごめん、ちょっと気になったやつあってさ」
近くのベンチに並んで座り、この後の予定を考えるAの頭に先程の帽子を被せる。驚く彼女は可愛い。
「え、なに?どうしたの?」
「Aに似合いそうだなって考えてたら買ってた」
スマホのインカメラで色んな角度から確認しているけど、どうやら気に入ってくれたらしい。
「私も何かノブにお返ししたいんだけど」
「じゃあ、さっきのワンピースと合わせてまたデートしてくれる?」
「、、そんなことでいいの?」
「そんなこと“が”いいの」
可愛い彼女とまたデート出来るなんて幸せでしょ?
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柊 - 亜杞さん» 分かります…!唐突に頭の中にメロディー流れてくるんですよね…私もまさかここで目にするとは思ってもいませんでした…あれをつかってこんな素晴らしい作品が書ける亜杞さんこそあんたすげーよ!(です!!) (2022年6月21日 18時) (レス) id: c57341bca6 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - 柊さん» 正解TMYです!私未だに口ずさみたくなっちゃうんですよね。まさかご存知の方がいらっしゃるとは……柊さん、あんたすげーよ!(これが言いたいが為にレス書き直しました) (2022年6月19日 23時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - 焼きそばの校歌ってTMYですか…?間違ってたらすみません…気づいて少し懐かしくなりました (2022年6月19日 18時) (レス) @page34 id: c57341bca6 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - akiakiさん» 身に余るお言葉ばかり恐縮です。ありがとうございます!策士なfkrさん書きたがりなので楽しんで頂けると嬉しいです。過去作も新作の方もよろしくお願いいたします。 (2022年4月17日 14時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - 読んでる途中ですがもうこのお話たちが好きすぎて、、、色合わせのfkrさん、自分のものじゃん!策士〜!その方らしさを出しながら、素敵なお話を書かれていて尊敬します。これからも楽しませていただきます! (2022年4月17日 10時) (レス) @page46 id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜杞 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月14日 20時