日常リターンズ。 ページ24
「……はっ！」
俺は、目が覚めた。
「……」
ぼんやりとした視界に、くすんだ白い天井。枕元を探ろうと手を伸ばせば、畳の硬い感触と、喉の乾きで俺は身体を起こした。
「……っ」
頭痛がした。右から左へ、頭部を走り抜けるような頭痛。何だか随分と長く、後味の悪い夢を見た気がする。俺は枕近くで充電してあった、灰色のスマホを手にして、画面を点けた。
(……あれ……？)
すっきりしない頭で、何故か感じた違和感。俺が俺ではないかのような、どこか矛盾しているような……何かが頭痛と引き換えに、頭の中からすっぽりと抜け落ちた感じだった。
(……えーっと？ 俺の名前は、
住所は、神楼市のマンションの二階。行きつけの寿司屋の名前、ジャージのサイズ、両目の視力や小学生の時の通知簿の成績まで言えるのだから、大丈夫だろう。抜けている記憶は無いはずだ。
10月15日、日曜日の夜12時3分16秒、俺は奇妙な体験をした。
インターネット上にある仮想空間、人狼ルームにて行われる“人狼ゲーム”。人間の命を無駄にしかしていないような悪趣味なゲームに、俺はイルカという青年によって参加させられた。結果、村人だった俺は負けて、毒針で処刑された。
随分と現実味のない話だが、俺の記憶をまとめるとそうなる。
「……何か、変な夢を見たな……」
ルームの中で、俺が名乗った偽名“くじら”。役職カードの顔の部分に、くじらのような影が映っていた事から思いついたのだが、周りから呼ばれるうちに意外と気に入った。
(少なくとも、灰ジャージよりはマシだよな)
にしてもあいつ誰だったんだろう、俺を知ってるらしかったけど、と思いながら、布団を出て大きく伸びをした俺は、ふと気づいて動きを止めた。
俺が人狼ゲームに巻き込まれたのは、10月15日の日曜日。俺には、処刑された後の記憶が無い。
(あの後、俺ってどうしたんだ……？)
イルカの話では、仮想空間での処刑は、現実世界に帰る事を意味する。仮想空間内で死亡すれば、その瞬間に意識は現実世界に戻るのだと。
俺は時計を確認した。10月16日10時25分。
「やっべぇ！！ 大学行かねぇと……！！」
俺は大慌てでマンションを飛び出した。
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くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
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