第四百十八話 認めて欲しかった ページ7
「 別にいいだろ?どうせヤツら自身だって薄汚い『食うか食われるか』をやってんだ。そんな害悪を処理してやったのさ。『怪盗団』と何が違う?」
害悪を処理。私にはそう言うことで、自分の行いに正当性を持たせようとしているようにしか見えなかった。
「 どんな相手でも私たちは人は殺さない。あなたとは違うよ。」
「 それが何だって言うんだ!?」
喉から搾り出したような叫び声。
「 やっと手が届くんだよ。アイツに…獅童正義に…!」
彼の左手は、何かを掴みたいかのように上にあげられた。彼は拳を強く握りしめる。
憎悪。恨み。
彼の獅童に対する感情はその二つだけではない。もっと、違う何かを彼は求めていた。
「 アイツが権力の頂点を極め、俺を必要な右腕だと認めたその時に、耳元で囁いてやるんだよ…俺が『誰なのか』をな!その時初めて…存在自体が『醜聞』だった俺が、ヤツを支配する…ヤツを超えるんだ!」
「 …ああ。」
そうか、分かった。あなたは獅童に自分を『認めて欲しかった』んだね。それは小さな子供が親に褒めてもらいたい、と思うのと同じ類いのような。そんな、切ない想い。
「 あと数週間で、全てが実る筈だった。それをお前らが…!だが、まだ取り返せる。お前ら全員の首があればな。」
「 フン、そんな事のために首はやらねえよ。大層なこと言ってるが、要はガキが駄々こねてるだけだぜ。」
「 この俺に意見すんなよ…カス共が…
獅童正義は、俺が責任もって生き地獄に突き落としてやるよ。だから、お前らは安心して逝くがいい。」
「 決着をつけよう。」
「 そうだな。語り合う言葉はもう必要ない。」
私は怪盗団の中で最も、彼と行動を共にした期間が長い。今の話を聞いて、彼への理解がより深まった。
そこから推測されることがある。
「 みんな聞いて。吾郎はきっと、私たちに示していない別の力を持っていると思うの。」
彼の意思の強さは、ペルソナの力になる。その力は、私たちの想像を超えるような強さだろう。
「 私はエアリエルのうたでみんなの力を引き上げる事に徹する。だから、彼のことを…!」
「 任せてくれ。俺たちで、アイツを救うんだ。」
「 おうよ。ぶっかましてやんよ。」
「 うん、お願い。」
私は信じる。
「 何をごちゃごちゃと…まあいい。どうせ殺すんだ。俺の『本当の力』、殺しがてらテクチャーしてやるよ。」
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時