第五百十三話 容赦のない ページ9
クロウが少し腰を曲げて拾い上げたのは、先程のシャドウが落としたらしい一枚の紙。今までの経験上、リティはその紙の重要性をよく理解している。
「ここの見取り図のようだね。いただいておこう」
リティはクロウが開いた見取り図を横から覗き込む。
「この感じだと、かなり広そうだね」
「まあ、一筋縄ではいかないだろうな」
そんな会話をするリティたちを横目に、かすみがジョーカーにコソコソ話を持ちかける。耳がいいというのはこういう時は困ったもので、彼らの会話が勝手に聞こえてしまった。
「あの…私、明智さんとそこまでお話したことないんですけど。普段からああいう方なんですか？色々容赦ないというか。」
「あれが正体。」
「そうなんですね…」
リティは「あはは…」と苦笑いをする他なかった。クロウにその会話が聞こえてないことを望んだが、その望みは一瞬にして打ち砕かれる。
「いつまでも喋ってないで、進んだ方がいいんじゃないかな。『容赦のない明智』とでよければだけど」
「…聞こえてましたね」
彼は地獄耳を持っているようだ。
◇◇◇
襲い来る敵を的確なクロウのナビを元に倒し、リティたちはこのパレスの深奥を目指す。最終目標であるオタカラ。それが鎮座しているのは十中八九、このパレスの主にとって最も安全で、かつその欲望が最も顕になっている場所だ。オタカラを奪い、この歪んだ世界を元に戻す。そのためにリティたちは進み続けた。
「なんだ…？」
リティたちが扉を開けた瞬間を見計らっていたかのように、天井に取り付けられたテレビの映像が突如として流され始めた。誰かがすすり泣く声。その声にはどこか聞き覚えがあった。
「うそ…」
その映像の光景に最も驚いていたのはかすみだった。彼女は受け入れたくない現実を見るような、切なく、遠い目でそれを見続けている。
『…すぐ来てくれるからな。お母さんも、お婆ちゃんも。もちろん、あの子もだよ。落ち着いたら、きっと来てくれるから…』
かすみの父である芳澤伸一がその言葉を向けた先にいたのは白い布で顔を覆われた少女。背後に配置されているお供え物、そして伸一の表情。映像から得られる情報はただひとつ。彼の娘が亡くなったということ。
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
