第五百十二話 八艘飛び ページ8
エアリエルを召喚した私はクロウに『エアリエルのうた』で補助効果を付与する。引き上げた力は物理属性。かすみちゃんは攻撃力が強いというよりも敵の弱点を的確に見定めた攻撃をするが、クロウはその逆。
弱点なんておかまいなし。
ただただ、力のみでねじ伏せる攻撃だ。
「こい!ロキィ!」
レーヴァテイン。
鋭い刃を持った彼の攻撃によって、敵のうちの一体が消滅する。まさに瞬殺。彼の力の強さを改めて感じさせられた。
「あとは君がどうにかしなよ。」
「ふっ、言われるまでもない。」
だが、私たちのリーダーの強さも負けていない。何せ彼はその力で世界を滅ぼそうとする神ですらも屠ったのだから。こんなところの、たかが一体のシャドウに躓くような男ではない。
「リティ、力を。」
「わかった、任せて。」
今度はジョーカーに対して補助魔法を付与する。引き上げた力はまたしても物理属性。彼の持つペルソナの固有攻撃を鑑みて、私はその選択をした。
「ヨシツネ。」
日本を代表する英雄、源義経の姿をかたどったペルソナの攻撃。義経が生前に残した伝説的な行動がその攻撃の源となり、現代を生きる彼の力となった。
八艘飛び。
敵への八連続攻撃。みるみる体力を根こそぎ奪われ、その身体を傷つけられたシャドウはなす手もなく、静かに消滅する。
「うわあ…」
やはり彼の力は底知れない。と私は目を丸くさせる他なかった。かすみちゃんも同様の反応だったが、クロウだけは悔しそうに目を歪ませていた。
◇◇◇
「…片付いたか。即席で組んだわりに上出来だったね。」
「私たちはついこの前まで色々な敵と戦ってきたからね。」
「身体が感覚を覚えていた。」
そんな他愛もない会話を繰り広げる中、かすみちゃんだけが一人放心した様子でクロウのことを見つめていた。
「芳澤さん?」
「あ、はい!なんでもないです!えと…さっきのシャドウ、『研究』って言ってましたね。それに『痛み』とか。」
「僕たちの推察はあながち間違ってはいなかったようだ。ああ、あと『救済』とも言ってたね。なんにせよ、まともな人間ではなさそうだ。」
彼の言うようにまともな人間ではパレスを持つほどの歪んだ欲望を持つことがないだろう。このパレスの主は心が綺麗な人、という印象を持っていたが、それも消さなくてはいけないのかもしれない。
「…ん?これ…」
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね!いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜!!すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(?)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2024年1月10日 17時