第五百九話 演じない ページ5
今までであれば、履歴のところにはパレスの主の名前も記載されていた。私たちが以前、この場所に侵入できたのは偶然という部分が大きかったために、パレスの主の検討もついていない。
そのため、履歴を見ればその正体がわかると思ったのだが。
「このパレスの主はこんな小細工まで可能なのか…？」
「これ、パレスには入れないんでしょうか。」
「履歴はあるからね。侵入は可能なんじゃないかな。」
「そうだね。早速、行こっか。」
「ちょっと待ってください。」
私たちの目線が彼女へと向けられる。
「もしパレスに行くなら、私も連れて行ってくれませんか。前に行った時から、気になってることがあるんです。足手まといにはなりませんから。」
と真剣な表情をしてそう言うかすみちゃんに笑みが溢れる。彼女と足手まといという言葉はあまりに対局すぎて、私の中では結びつかなかった。
「蓮はどう思う？」
「一緒に行こう。」
「もし万が一何かがあっても私たちが守るから。落ち着いて潜入しようね。」
「はい！」
「じゃあ、行くよ。」
◇◇◇
白い鳩の羽根がそこらかしこに舞っている。清潔感のあるパレス。という以前と同じ印象を感じた。やっぱり、このパレスはどこか他のものとは違う気がする。
「改めて見ると、不思議な場所ですね。この建物、何なんでしょう。」
「ジョーカーは前に潜入した時は『パレスの主は研究者かもしれない』って言っていたよね。」
「研究…となると安直だけど研究所、と考えるのが自然だね。僕は中の様子を見ていないから何とも言えないけど。」
「そう、なんですね。」
すると、かすみちゃんが不思議そうな様子でクロウの姿を上から下へとじっくりと眺める。彼女が言わんとすることはなんとなくだが予想がつく。
「ところで、その…」
「どうかした？」
「衣装、本当の姿なんだね。」
「ああ、これ？」
彼の反逆の姿は私たちに見せていたプリンスのような装いではなく、獅童のパレスで初めて見せたダークスーツだった。彼の世間的なイメージから考えると仰天ものだが、私にとってはこちらの姿の方が好ましい。
「芳澤さんはともかく、君らの前で今さら清廉な探偵王子を演じる必要もないだろ？」
「うん…！」
本当の彼を見せてくれているようで、嬉しかった。
「お喋りは終わりだ、行くよ。」
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
