第五百三十話 懐かしい笑顔 ページ26
明日から自分はどうすべきかと考えた時にAの頭に最初に浮かんだのは仲間の様子の確認だった。まずは彼らがこの世界でどのように生きているのかを知る必要があると考えたのだ。その旨を吾郎に話すと「ふうん、いいんじゃない」と若干素っ気ない返事を返された。
「僕は個人的に丸喜拓人について情報を集めておく。探偵をしていた時の情報網が今になって役に立ちそうだ」
と少し楽しげに言う吾郎に「そっか」とAは微笑む。あまり意識しないようにしていたが、ここは彼の家で、彼と二人きり空間。ドキドキ感だけではない、彼の傍にいることで得られる充実感にAは言葉通り浮かれていた。
「…顔、にやけすぎ」
「ひゃっ…」
むにゅとニヤけてしまう顔を吾郎に引っ張られる。だがそんなやり取りでさえも楽しくて。Aはくすくすと笑ってしまう。
「そんなに面白い？」
「吾郎と一緒にいると楽しくて」
「……そう」
吾郎はAから目を逸らすと机の上に広がる書類を片付け始めた。なんでいきなり、とAが彼の顔を覗き込もうとする前に、彼女は吾郎の耳が赤くなっていることに気付く。ああ、照れ隠し。そう思うとまた顔がニヤけてきてしまう。
「そうだ」
「どっ、どうしたの？」
緩んでいた顔を悟られまいとAは急いでる表情を切り替えた。そんな様子を少し訝しげに見たあと、吾郎が口を開いた。
「明日は用事があるから。夜になったら連絡する。それまでどこかで時間を潰してて。」
「うん、わかった」
明日、まずは誰に会いに行こうか。そう考えてすぐにとある人物がAの頭をよぎった。初詣の日、彼女からの誘いを断ってしまったことを思い出したのだ。
＿＿＿よし、決めた。
明日、会いに行くのは。
◇◇◇
「あ、A！来てくれたんだね！」
「杏に会いたいなって思って。それに…」
Aは杏の隣にいる人物へと目を向ける。渋谷の駅地下モール。彼女たちはAと合流する前に、店に並ぶ服やアクセサリーを見て楽しんでいたようだった。二人の顔には、懐かしい笑顔が浮かんでいる。
「志帆ちゃんと、久しぶりに会いたくて」
「私もだよ。Aちゃん」
鈴井志帆。去年の一件で、秀尽学園高校から去っていったAの友人であり、杏の親友。彼女が今ここにいるというのも、丸喜による認知の影響だった。
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
