王様と下僕。【影山飛雄】

08 勘違いも甚だしいとはまさにこのこと ページ9

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｢は？｣
そう言うのが一瞬遅れた。

いや本当に単純にびっくりして。私が？影山を？好き？いやいやいや。ありえないでしょ。

が、その一瞬の間がまずかったか、国見は｢お前趣味悪いね｣なんて。おいまてコラ。



｢いやいやいやない、ないわぁ。つか、どっからそんな発想出てくるわけ｣

｢影山のことずっと見てた発言とか、影山のこと俺らより知ってる発言とか、影山のこと頼んだ発言とか、｣

｢お前それ以上言ったら口ミッフィーに縫いつけるぞ｣



ありえない。ぎろりと渾身の目力で国見の男のくせに大きな目を睨みつけると、国見はじゃあさ、と薄く笑った。



｢俺と影山だったらどっちと付き合う？｣

｢間をとって金田一かな｣

｢間じゃないし、即答かよ｣

｢いやいやここはどう考えても金田一でしょ｣

｢じゃあ金田一が一位として二位は？｣

｢お前らは同票最下位だよクソ｣



なにこいつうざい。こいつ中学の時はこんなにしつこくなかったのに。とうとう及川さんの毒牙にかかったか・・・と失礼極まりないことを考えていると。

不意に、その国見の細長い指が私の耳を触った。
いきなりのことに｢っうぇあ！！？｣と奇声をあげると、まるで未知の生命体でも発見したかのような目で私を見下す国見。おいお前のせいだろ。



｢きも・・・｣

｢未だかつてこれだけお前に殺意を覚えたことはない｣

｢いいから背伸びしろブス｣

｢いい加減しばくぞ女顔。ていうかいきなり何｣

｢俺脚長いから屈むの疲れるんだよ｣

｢背高いじゃなくて脚長いって言っちゃうんだね！自分で！！わぁ！！！｣

｢事実だし｣

｢否定できないのがクソ腹立つ｣



そんなことをうだうだと話していると｢いいからとっとと背伸びしろよ｣と言わんばかりの国見の黒い笑みに、あれこいつの方がよっぽど王様じゃね？？？？と思ったが、逆らうとあとが怖いので渋々背伸びする。

少しだけ国見の顔に近づいて改めて｢あーやっぱりこいつ背高いなーつか肌白。目デカ。女顔・・・まつ毛長・・・｣なんてコイツの顔面偏差値の高さに嫉妬していると。



｢え、何国見｣

｢いいから｣



ふ、っと目の前にできた影と、近づく国見の顔にそう問いかけると、



｢黙ってろ｣



低くそう囁いた。






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