王様と下僕。【影山飛雄】

18 羞恥で死ぬ。いやいっそ殺せ ページ19

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影山と見つめ合う(というか一方的に睨みつけられる)こと数秒。

｢あっれ飛雄じゃん｣という及川さんの声にやっと影山の視線が逸らされた。

…びっ、くりしたー…、

と、及川さんが何故か威圧的な笑みを浮かべて私の手を引っ張った。



｢何？俺とA、デートしてるんだけど｣

｢は？｣

｢邪魔しないでくれる？｣



ばちり。及川さんと影山の間で嫌な音が聞こえた。気がした。


あ、あははははおかしいな冷や汗が。あれこれ私巻き込まれちゃう感じ？？あっれ目から温泉が。

がっつりと及川さんと影山が私の手首を掴んで全力で引っ張り始めやがったせいで私は悲鳴をあげた。



｢いたいいたいいたいいたい！！！！離せクソ野郎ども！！！いっぺん女子の扱い方学んでこい！！！｣

｢飛雄が離せばいいじゃん…！｣

｢嫌っス…！及川さんが離してください…！｣

｢お前らどっちも離せよ！！もげる！！｣



飛雄が離せよ、いや及川さんが離せと押し問答を繰り返すこと数十回。

私はげんなりと地面を見つめていると、遂に元々広くない堪忍袋の緒がブチ切れたらしい影山がとんでもないことを叫んだ。



｢Aは付き合ってるんで！！！｣

｢………は？｣



な ん だ っ て ？


及川さんも同じくそう思ったらしく、元々二重で大きな目をさらに大きく見開いてほんの一瞬だけ私の腕を引っ張る力を緩めた。

その隙に引っ張るというかもはやひったくるようにして私の腕を掴んで走り出した影山。う、わ！



｢ちょ、待って影山！私今ヒール…うわ！｣

｢あ！？何でそんな女みてぇな靴履いてんだよボゲ！｣

｢女なんだから履くわ！！ていうかこれは及川さんに押し付けられただけ…っうお！！？｣


刹那、ふわりと感じた浮遊感と、高くなった視界。横には影山の胸板。膝裏と背中に感じる体温。

…ぎ、



｢ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！｣

｢るっせーな黙ってろ！！舌噛むぞ！｣

｢じゃあ降ろせよ！！ここどこだと思ってんだ街中！おい！降ろせったら！｣



皆様、一体誰がこの平々凡々な女子高校生が街中でお姫様抱っこされると予想したでしょうか。

影山は顔だけはいいし背が高いから余計に目立つ。嗚呼神よ、私が一体何をしたというのですか。


半ば放心状態で影山にお姫様抱っこされながら移動すること数分。やっとのこと地を踏んだ足にほっとする。




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