王様と下僕。【影山飛雄】

01 あの本当、青春とかいいんで。 ページ2

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四月。春。桜が咲き始め、世の中の華のＪＫたちはこぞって青春を謳歌するために、部活の体験入部はたまたバイトなどに励もうとする中。

私は軽やかに部活勧誘の嵐を切り抜け、それなりに目立たない地味な高校生活を送るという夢を叶えるべく、秒速で帰宅部に所属した。

はず、なのに。


｢あれれ何で帰宅部の私が放課後の体育館の前にいるんだろうおかしいね影山くん？？？？？｣

｢うるせぇよA。いいか、お前は、マネに、なるんだ｣

｢わぁ素敵！死んでもならん｣


わざわざ一字一句切りながら私に言い聞かせるようにそう言った中学校来のクズに、私は唾を吐き捨てた。

もう一回言うね？私帰宅部だから。あいむのっとバレー部だから。


｢もう何なのお前私のこと大好きなのなんなの？？｣

｢・・・？｣

｢いっそのこと拒否してほしかった｣


やめろ首を傾げるな余計傷ついた。

きょとん、とその男のくせにやたら大きくてつり上がった目をくりっとさせて首を傾げる影山の横で、私は頭を抱える。

ていうかこの隙に逃げられないかな、と逃走を試みたがそのやたら長い足を引っ掛けられ顔面からずっこけあえなく失敗。殺したい。
と、


｢影山何やってんだよ！・・・あれ、A？｣

｢｣

｢日向。おっせえよ｣

｢HRが長引いたんだよ！ていうか何でA地面に這いつくばってるんだ？｣

｢激しく死にたい。そしてこれ這いつくばってるんじゃなくてそこのコート上のクズにこかされたんだよ日向くん｣


そう言うと｢え！？A大丈夫！？｣って手差し伸べてくれた日向くんマジ天使。その隣で偉そうに腕組んで私を見下ろしてる影山マジクズ。


｢いいからお前とっととマネになってこい｣

｢いやだから何でだよ。私もう一生マネやんないって決めたから｣

｢！？Aマネージャーになってくれんの！？｣

｢うん日向くん二秒前の私の話聞いてた？｣


だからマネージャーしねぇっつってんだろクソ。

中学校時代のカカオ90％のチョコレート並に、涙が出るくらい苦い思い出(勿論原因はこの前髪アトム野郎)のせいでもう二度とマネージャーなんかしない、と誓ったのに。


｢男２人がかりでとか卑怯すぎる・・・！｣

｢Aマネージャーになって・・・！！｣

｢断る！｣

｢てめ、重いんだよボゲェ・・・！！｣

｢今重い関係ねぇだろ！｣


ぎちぎちぎち。私の鞄を思い切り引っ張って私を体育館に引きずり込もうとする男子高校生×２ＶＳ女子高校生の図。カオス。




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