7：ごはん(N視点) ページ7
〜N視点〜
『食べるということは生きるということに直結している。故に、誰かと一緒に食べるということは誰かと一緒に生きるということなのだ。』
この言葉は、幼い頃に日本料理を教えている父に教わった言葉だ。
父は、この言葉を胸に料理をしているというのだ。
誰かと一緒に生きる為に、ごはんというものは必要不可欠なのだという。
……そんな事を、目の前で美味しそうに自分の作った鍋を食べている恋人を見ながら、ぼんやりと思い出した。
「やっぱニノの鍋、最高だわ。」
そんなことを恥ずかしげもなく言える恋人を見ていると、温かい感情が胸いっぱいに押し寄せてきて、幸せ過ぎてどうしようもなくなってしまう。
自分がわざわざごはんをつくってあげるのは、貴方だけなのだ。
貴方と一緒に生きていこうと決めているから、貴方の笑った顔が見たいから、自分は貴方だけにごはんをつくり、そのつくったごはんを貴方としか食べないのだ。
そんなことを心の中で呟きながら、まだ貴方には伝えないでおこうと決めた。
今はまだ、ほんの少しだけ、恥ずかしいからだ。
【貴方に伝えるのは、貴方がごはんをつくってくれたときにしよう。】
〜終わり〜
〜あとがき〜
「紅」と書いて「あか」と読む、紅百合です。
今回はNさんのお父様が日本料理の先生ということなのでごはんのお話です。
ONさんは食の好みが似ているので、NさんのごはんはOさんのどストライクなのでしょう。
お読み下さり、有難う御座いました。
〜紅百合〜
続く (更新停止中)
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作者名：紅百合 | 作成日時：2017年9月30日 20時
