JUMPの闘病生活。5 (ページ21)

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勝負ページ21

侑李サイド

「決勝にいけるといいね」なんて話していたら、本当に決勝戦に出ることになった。

午前中の試合で３対１で勝った僕たちは今、ゴールやネット、ボールなどを片付けている最中だった。

海「やったね、侑李！楽しみだね！」

二人で一緒にネットを片付けていると、海が口を開いた。

海には、嬉しいという感情しかないようだったが、僕は嬉しい以上に不安だった。

海「大丈夫？侑李、最近変だよ？」

侑李「大丈夫、大丈夫！」

笑顔をつくってそう言うと、海は「それなら良かった」と笑ってくれた。

どうやら、上手くごまかせたらしい。

僕が『最近変』なのは、海の言う通りで、自覚はあった。

――涼介、大丈夫かな。

頭の隅においやっているその心配は、何をしているときでも、ふいに出てくる。

サッカーの決勝の日と自分の移植の日が同じ日だということを涼介は隠していたけど、伊野尾先生が話しているのが聞こえてしまったから、僕は知っている。

きっと涼介は、僕がこうなるのをわかっていたのだと思った。

だから、隠していたのだと。

僕が涼介のことを考えていてサッカーに集中できず、試合で負けることが、涼介にとってはいちばん辛いことなのかもしれない。

そして、僕が負けたことに涼介が責任を感じる、というのは、僕にとっても辛いことだ。

ということは、つまり。

侑李「勝つしかないね」

僕が優勝できたら、そして、涼介が生きていてくれたら、二人とも幸せな気持ちになることができて、辛い思いをせずにすむ。

海「いいね、そのやる気。かっこいいよ、侑李」

侑李「……ありがと」

かっこいいだなんて言われ慣れていないから、頬が熱くなった。

海「ここまできたら、もう優勝しかないよね。絶対勝とう！」

侑李「うん！」

僕が今、涼介のことを思い浮かべていることは、海も涼介も知らないだろう。

ねえ、涼介。

僕、絶対に負けないよ。

だから、君も負けないでね。

死なないで、生きて待っていてよ。

二人で勝って、また、笑い合おうね。

もし、僕を残して死んだりしたら、

許さないから。