家族と相棒 ページ13
侑李サイド
伊野ちゃん先生と二人きりで、夜道を歩く。
伊野ちゃん先生の家は、病院から徒歩5分のところにある高層マンションだ。
病院から近いところにあるため、急に呼び出されてもすぐ行ける、と伊野ちゃん先生が言っていた。
そう感じる医者は多いらしく、マンションには他の科の先生もたくさんいるらしい。
そして、小児科の先生が伊野ちゃん先生の部屋に泊まりに来ることもあるんだって。
伊野尾先生「あれだよ、わかる? あの高いの」
侑李「あれ? たかそー」
伊野尾先生「高いよ? 25階建てだからね」
侑李「あ、そっちもだけど。家賃の方が」
伊野ちゃん先生は、「そっちも高いね」と言って笑っている。
ケラケラと笑う余裕があるなんて、やっぱり医者はお金持ちだなぁ、と改めて実感する。
侑李「あ、そういえばさ。僕、伊野ちゃん先生に聞こうと思ってたことがあるんだけど、いい?」
伊野尾先生「いいよ、何?」
侑李「ドラマとか映画とか、あと漫画とかでよく見るやつだよ。なんで伊野ちゃん先生はお医者さんになったの?」
伊野尾先生「……気づいたらなってた」
侑李「……どういうこと?」
伊野尾先生「みんなより頭よくて、医者にでもなろっかなって軽い気持ちでいたら、いつの間にか本当にそうなってたの。給料良いし、これでいいかなーって」
侑李「現実の世界って感じだね」
僕がそう言うと、伊野ちゃん先生は笑った。
伊野尾先生「現実の世界はこんなもんだよ。ドラマ見て憧れたとか、親が医者だったとか、
給料がいいからとか」
侑李「僕がお医者さんになれば、フィクションの世界の人になるね」
伊野尾先生「そーだな。子供の頃病気で医者になったって人、あまり見ないもんな」
そんな話をしていたら、伊野ちゃん先生のマンションについた。
伊野ちゃん先生は10階の1番右の部屋に住んでいる。
10階だから、景色は病院とほとんど変わらない。
伊野ちゃん先生の部屋に入ると、吸った空気から伊野ちゃん先生のにおいがした。
侑李「ペットとかいるの?」
伊野尾先生「ペット禁止だって」
侑李「ふーん」
伊野尾先生「そこのソファー座ってなよ」
侑李「うん」
伊野ちゃん先生はテレビの電源を入れて、奥の部屋に入っていった。
その後、袋を持ってこっちに来た。
侑李「何、それ」
伊野尾先生「服だよ、たくさん買っておいた」
伊野ちゃん先生が袋の中身を出すと、たくさんの服があった。
侑李「ありがと。いのちゃ……おとーさん」
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作者名:J | 作成日時:2020年5月20日 11時