JUMPの闘病生活。３ (ページ12)

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家族と相棒ページ12

伊野尾先生サイド

涼介の病室を出てから、侑李は口を開かなかった。

リュックの紐を握ってうつむきながら、廊下をとぼとぼ歩いている。

伊野尾先生「寂しい？」

俺が話しかけると、侑李は首をブンブンと横に振る。

伊野尾先生「どうした？元気ないよ？」

侑李「学校って明日から？」

伊野尾先生「ううん、準備とかあるから。明日からではないよ？それにキリがいいときから通えばいいし」

侑李「そっか、なら良かった！」

侑李は顔をあげて俺を見る。

侑李「学校って、初めてだから。わかんないこといっぱいあるもん。友達できないと悲しいし」

伊野尾先生「友達は最初はできないかもしれないけど、そのうちできるから。侑李は可愛いから男がうじゃうじゃ集まって来るよ」

侑李「なにそれぇ」

病院を出た頃には、いつもの侑李に戻った。

そんなに学校が不安だったのかと思うと、俺が支えないといけないな、と感じる。

庭を歩いていると、侑李は振り返る。

その視線の先にあるのは、血液病棟。

涼介を探しているということは、すぐにわかった。

侑李「……涼介、いないね」

伊野尾先生「そうだな」

俺たちはまた前を向いて歩き出す。

そのとき、携帯がなった。

俺は侑李に「ちょっとごめん」と言って携帯を見る。

大ちゃんからLINEが来たという通知がある。

俺はLINEを開く。

伊野尾先生「病棟を見て、だって」

俺がメッセージを読み上げると、侑李が病棟の方を向く。

それに続くように、俺も病棟を見る。

侑李「涼介！」

侑李は無視しているけど、その隣には大ちゃんもいる。

大ちゃんは笑顔で手を振っているけど、涼介は泣いている。

左手は大ちゃんと繋いでいるし、右手で涙をぬぐっているから、大ちゃんが無理やり立たせた感じが出てる。

侑李は、笑顔で大きく両手を降って、ぴょんぴょんと跳びはねた。

それはまるで、涼介を励ますように。

涼介は、服の袖で頻繁に目を擦っているから、まだ泣いているかもしれない。

でも、口元は笑っていたし、たまに見える目も笑っていた。

侑李「行こう、先生の家」

伊野尾先生「うん」

侑李が先に歩き出したから、俺は侑李の後をおう。

あれ？こいつ、こんなに大きかったっけ。

その背中は同年代の男の子に比べると大分小さいのに、俺にはすごく大きく見えた。