双子の絆 ページ27
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回診を終えた俺は、パソコンを起動させた。
カルテを開くと、画面に『中島裕翔様』と大きく表示された。
俺はカルテに、『化学療法開始 同種造血幹細胞移植を行う ドナーは母親』と打ち込んだ。
俺が主治医になった裕翔は、移植手術に向け化学療法をやっても精神的に安定していて、特に問題はなかった。早期にドナーが見つかったこともあって、かなり順調に進んでいる方だ。
俺は裕翔のカルテを閉じて、涼介のカルテを開いた。
涼介が精神的に不安定だということは、伊野ちゃんたちから聞いていた。
カルテにかかれた文章を見て、俺は唇を固く結んだ。
『慢性期 分子標的薬はイマチニブを使用 効果あり ただし メンタルが不安定』
いつも明るい涼介だから、そんなことは考えられなかった。
でも、伊野ちゃんが書いたこのカルテに間違いがあるわけではない。
全てが正しい。だけど、信じられないのだ。
次に、侑李のカルテを開いた。
『慢性期 分子標的薬はイマチニブを使用 効果あり
ただし 体重減少、貧血などの症状が見られる』
侑李の方が、早いのか。
俺は、小さなため息をついた。
涼介は、耐えられるのか？
きっと、侑李の方が早く移行期に入る。
急性転化期に入るのも、涼介より先になるかもしれない。
もし、それが現実になったら。
壊れかけている涼介は、完全に壊れてしまうのではないか。
俺は、伊野ちゃんに電話をかけた。
しばらくして、「もしもし」と声が聞こえた。
でも、その声は光くんだった。
�睫收萓検屬┐叩� 光くん？」
八乙女先生「うん、伊野ちゃん寝てるから」
光くんは「ちょっと待ってて」と言って電話を切り、寝ている伊野ちゃんの写真を送ってきた。
そしてまた、電話がかかる。
八乙女先生「寝てるでしょ？ で、どうしたの？」
�睫收萓検屬△痢⇔嘆陲釆厖�の話だよ」
八乙女先生「ああ、俺聞くよ。伊野ちゃんに言っとくから。涼介と侑李がなんだって？」
�睫收萓検嵶嘆陝∈�ちょっと不安定なんだよな？」
八乙女先生「ああ、それ、解決したってよ」
�睫收萓検屬呂叩�」
予想外の言葉に、思わず変な声が出てしまう。
八乙女先生「なんか、侑李が解決したってよ。話ってそれだけ？」
�睫收萓検嶄厖�の分子標的薬、変えたらどうかなって」
八乙女先生「あー、言っとくわ。じゃね」
光くんはそう言って電話を切った。
侑李が解決した、か。
俺は、なおさら侑李の進行を止めたいと思った。
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作者名：J | 作成日時：2020年3月15日 20時
