JUMPの闘病生活。 (ページ17)

今日:22 hit、昨日:29 hit、合計:139,971 hit

母親の記憶ページ17

涼介サイド

「ふたりは、お母さんのこと、どう思う？反抗とかするの？」

消灯時間をとっくに過ぎて、ふたりの寝息が聞こえてくる今でも、裕翔くんの言葉が頭のなかをぐるぐると回っていた。

俺たちの母さんは、どこにいるんだろう。

母親がいるのに、変な態度をとる裕翔くんが不思議だった。

そんなことをしても許してくれる母親がいることが、すごく羨ましかった。

なんで、俺たちを置き去りにして遊んでいたのだろうか。

なんで、病気になった今でも、戻ってきてくれないのだろうか。

ああ、もう考えるのやめよ。目が冴えて眠れなくなる。俺も早く寝よ。

自分自身にそう言い聞かせて、まぶたをおろした。

――――――――――涼介、涼介

誰かに呼ばれて目を開けた。

知らない空間だったから、これが夢であると確信した。

目の前にいたのは知らない女の人だった。

その人は、俺をそっと抱きしめた。

この人、誰だよ。なんで俺、こんなことになってるんだ？

夢の中の自分に逃げると言う選択肢はなかったらしく、しばらくの間、女の人に抱きしめられていた。

―――――――ねぇ、ママー

侑李が甘えた声で、女の人をそう呼んだ。

ママ？俺たちの母さんはこの人なのか？

女の人は、俺を離して、侑李のもとにむかう。

侑李「ねぇ、ママ見てよ。僕が作ったんだよ」

侑李は折り紙で作った鶴を自慢げに見せた。

「俺もやる。母さん、俺のも見てよ」

夢の中で、自分がそう言った。

俺も赤い折り紙で、鶴を作った。

侑李の鶴とは少し違って、侑李が作ったものよりも、もっと複雑な鶴を。

「できた！母さん、すごいでしょ？」

そう聞くと、お母さんは俺の頭を撫でて「すごいね」と言った。

すると侑李が頬を膨らませて、「僕の方がかわいいもん」と言った。

「俺の方がカッコいい！ねぇ、母さんはどっちがいい？」

夢の中の俺は、どうやら負けず嫌いらしい。

まあ、今もだけど。

お母さんは「私は、ふたりとも好きだよ。両方可愛くて、カッコいい」と言った。

侑李「えー」

勝敗をつけない審査員に、少し不満があるのだろう。

「母さん、ふたりとも、大好きよ」

お母さんは、俺たちを同時に抱きしめた。

そうだ、この頃から、俺たちは平等だったんだな。それに、ふたりで１つでもあった。

侑李「ねえママ？これからも一緒にいよーね！ずーっとだよ」

お母さんは「そうね。ずーっと一緒にいてね」
と言った。

そこで、目が覚めた。