新しい仲間 ページ16
侑李サイド
裕翔くん、カッコいいなぁ。
男子の僕でも見とれてしまう。
侑李「僕、ゆーとくんのこと、知りたいな。何が得意なの?なんでもいいから、教えて!」
裕翔「うーん、得意なこと。太鼓の達人って知ってる?」
侑李「うん」
涼介「この病院にも、一応あるよ。テレビゲームみたいなやつ」
裕翔「へぇ、ゲームって病院にもあるんだ。」
侑李「すごいたくさんあるよね。今度一緒に行こうよ。ゲーム部屋に」
裕翔「うん!」
裕翔くんと話していると、自分が病気じゃないと思えた。
今の僕は普通の子で、病気を発症する前の昔の僕なのではないかと、そんな気がした。
それくらい、裕翔くんは明るかった。
だからだろうか、時間が過ぎるのも、あっという間だった。
突然、コンコンとノックの音がした。
「はーい」と3人で答える。
あまりにもきれいにハモったから、みんなでわらってしまった。
裕翔「母さん……」
でも、ドアが開くと、裕翔くんの顔から笑みが消えた。
きっとお母さんと上手くいってないんだろうな。
それがなんとなく、感じ取れた。
裕翔くんのお母さんは、僕たちに「裕翔のこと、よろしくね」とおじぎをしてから、裕翔くんのベッドのとなりに座った。
裕翔「なに?」
今までとは違う声の低さに、少し驚いた。
涼介もなにかを感じたらしく、こっちを見てくる。
裕翔・母「漫画持ってきたよ。あと、DVDも」
裕翔「うん」
裕翔・母「じゃあ、お母さん、もう行くから」
裕翔「うん」
裕翔くんのお母さんは僕たちに「お世話になります」と声をかけてから、慎重に扉を閉めて出ていった。
いい人そうなのにな。
正直、裕翔くんがなんであんなにお母さんを嫌っているのかがわからなかった。
裕翔「ごめんね、なんか」
涼介「ううん。あのさ、裕翔くん、お母さん、嫌い?」
裕翔「うん、なんとなくね。反抗期、かな」
涼介「そっか」
裕翔「ふたりは、お母さんのこと、どう思う? 反抗とかするの?」
その質問に悪気があったわけではないのは、きちんと理解していたけど、それでも少し、戸惑ってしまった。
涼介「嫌いだよ。態度も、そんなよくないかも。裕翔くんと一緒」
涼介がそう答えたから、僕も「嫌いだよ」と答えた。
涼介の目の奥が、一瞬だけ、光った。
泣きそうなときの、でも泣かないように必死で耐えているときの、涼介の顔だった。
涼介、ありがとう。
やっぱり涼介は強いし、すごいね。
心の中で、涼介に話しかけた。
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作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時