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*
さらり、さらり。
何か温かいものが頭を撫ぜている。
前髪を掬うのは、誰の手だろうか。
その微かな振動に私の意識はゆるゆると浮上する。
まだまだ溶けた思考の中ゆっくりと目を開ける。
はっきりと見えないが……青い、背広だろうか？
同じ高さに目線があって……目が合った。
「あ、起こしちゃった？ まぁ起こしに来たんだやどね。
おはようロメラちゃん。」
へらりと笑う彼の顔をようやく認識する。
ええと、確か彼は――
「え、と……鬱先生、ですか……？」
「あ、覚えててくれたん？ んふ、嬉しいわぁ。」
そう言って彼は私の頭から手を離した。
私はまだ眠さの残る重い体を起こす。段々とはっきりしていく思考。
ふと周りを見れば私が眠りについた時にいた彼の姿がなかった。
私はまた彼に目線を戻す。
「それで……どうして鬱先生がここにいらっしゃるんですか？
それと、エミさんの姿が見当たりませんが……。」
「ああ、エミさんならちょっとマンちゃんに呼ばれてどっか行ったで。」
何かあったんだろうか、なんて一瞬思ったが用事あって呼ばれることなどそうおかしいことでもないと気が付き思考を止める。
それとは別にエミさんを呼んだ方の呼び名に首を傾げた。
「マンちゃん……といいますと……？」
「あー……マンちゃんっちゅうのはオスマンのことやで。
ほら、審議の時にも変な帽子被っとるのが居ったやろ？ あれのことやで。」
「あっ、それって外交官の方ですか？」
「そそ。ほんで、僕はその代わりにここに居ってくれって頼まれたから来てん。
それと、もうちょっとで夕食の時間やで。どう、お腹空かへん？」
彼は屈んで目線の高さを合わせたまま訊いてくる。
……辛くないんだろうか。
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狛々(プロフ) - 美しい文章を見ることができてとても満たされました…！貴方様の細かな場面表現がとても好きです。どうかご無理なさらず、更新を心待ちにしております。 (2023年2月22日 15時) (
レス) @page25 id: 0c572bf162 (このIDを非表示/違反報告)
黒井 屑(プロフ) - 夢主ちゃんがドタイプなんです……！15歳？気にしない。(ロリコン) 貴方の作品がめちゃくちゃ好きです。応援してます。 (2020年2月14日 20時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁の園 | 作成日時：2019年11月2日 9時
