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「……拒否権なんて初めからないのでしょう？」
「ふ、そう思うか。まあその通りだ。紙にもそう書いてあるだろう？」
そう仰る閣下の口許が弧を描く。
「承知しております。総統命令は絶対と心得ております故」
「理解が速くて助かるな。では、もうじき此処を出る。荷物は全て此処にあるか？」
「はい、まぁ大した量はないですが……」
「了解だ。貴殿の担任らには話を付けてある、付いて来い」
そう言うと閣下は立ち上がりドアへと歩く。私も慌ててカバンを持って閣下に続いた。
カチャッという音が聞こえたと思うとそれはすぐにけたたましいようなチャイムによってかき消されてしまう。
2時間目が終わった合図だろう。……とすると審議開始まで後30分しかないのか。
後ろ手でドアを閉め、閣下の背中を少し早足で追いながら私は思う。
私の人生を決定的に激変させる出来事はもう目と鼻の先に迫っているのだとという事実を改めて認識すると、ピンと緊張の糸がさらに張り詰めた。
言ってしまえば今のこの状況もそれに含まれているのだが、どうも夢見心地から抜け出せないでいた。
目の前に総統閣下がおられる、こんなことがあって良いのだろうか。
何かの間違いではないのだろうか。そんなことをつい考えてしまうのだ。
しかしいくらそれを言っても先程の命令書はそれらが要らぬ疑いであることを着々と自明にしていくのだから、いかに私が無駄な思考をしているかが浮き彫りになっていくのである。
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暁の園(暁夢路)(プロフ) - みしろさん» い、今通知を見てビビり散らしております……か、感謝の極みであります……！！ 読みやすいと言っていただけて安心しました、如何せん小生文体が堅くなってしまった人間でしたので(-_-;) コメントありがとうございます、頑張ります！！ (2019年11月2日 7時) (
レス) id: 2136db8e08 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 回答パートも嫌味がなくて納得できるし、こんな考え方もあるんだ…！と素直に感心しました…これからも体調にお気を付けて頑張って下さい…！勝手ながら影からひっそり応援させていただきます (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 圧倒的な語彙力を感じました…とても読みやすくて頭にすんなり入ってくるので時間を忘れて熟読できました…！ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁の園 | 作成日時：2019年5月14日 20時
