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私の目の前におられるのはまさしく我々国の総統であらせられるグルッペン・フューラー様であった。
テレビや教科書で毎日のように拝見しているのだから間違えようがないだろう。
総統閣下ともあろうお方が何故、一国民でしかない私の目の前に現れたのだろうか。
閣下の逆鱗に触れるようなことをした記憶など当然のことながらないし、喜ばれるような成果を上げた記憶も当然ない。
考えれば考えるだけ疑問が深まるばかりで、私にはどうしようもなかった。
そうしてそこまで数秒間考えていたがはっと私が閣下を見つめているだけの状態であることに気がつくと、焦って私は立ち上がり閣下の御前に跪いた。
総統閣下には絶対的な忠誠を誓うことが常識であり、それ以前に国民としての義務である。
義務を全うしない国民は最早国民とは言えないだろう。
それに私は閣下を心より尊敬している。
このお方の思想や行動は非常に合理的であり、人が人らしくあることができる社会を設計されていらっしゃる。
今までの数々の悪習を既存社会の概念に囚われることなく是正するために奔走していらっしゃる。
私の持論、考えは烏滸がましくも閣下と通ずるところがあると考えていた。
「私のような端くれが総統閣下の御前にあれること、大変光栄に思います。」
跪き地面を見て、私はそう言った。
すると閣下はこれまた面白かったのか、先ほどよりも少し大きく笑っていた。
私ははっと顔をあげる。
すると閣下は続けて口を開かれた。
「まあまあ、それほどまでに畏まるな。お前はまだ子供だろう、大人のふりなどするものではないゾ。
さあ、席につけ。少し話があって来たんだ」
そう言いながら閣下は私が座っていた席の対面の席に腰を下ろし足を組んだ。
……私は閣下の言葉に従うことに迷っていた。
閣下はああ仰られたが閣下が座っておられるのだから、私ごときが同じ目線でものを言ってはいけないだろう。そんなことは烏滸がましいにもほどがある。
そんな迷いを隠しておけるはずもなく、私は声を発した。
「ですが、私のような一国民が――」
「ほら、座り給え。総統命令と言わなければ駄目か？」
遮るように発せられたその言葉に私は気圧されて、仕方なく元の席についた。
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暁の園(暁夢路)(プロフ) - みしろさん» い、今通知を見てビビり散らしております……か、感謝の極みであります……！！ 読みやすいと言っていただけて安心しました、如何せん小生文体が堅くなってしまった人間でしたので(-_-;) コメントありがとうございます、頑張ります！！ (2019年11月2日 7時) (
レス) id: 2136db8e08 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 回答パートも嫌味がなくて納得できるし、こんな考え方もあるんだ…！と素直に感心しました…これからも体調にお気を付けて頑張って下さい…！勝手ながら影からひっそり応援させていただきます (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 圧倒的な語彙力を感じました…とても読みやすくて頭にすんなり入ってくるので時間を忘れて熟読できました…！ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁の園 | 作成日時：2019年5月14日 20時
