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「凄い……!」
民間人では立ち入ることの出来ない「聖域」に今から踏み込むのだ。
漸くそれを自覚すると高鳴る鼓動をどうにか押さえ込んだ。
ヘマは許されない。閣下が寄せてくださった期待に応えなければと気合いを入れた。
「行くぞ。審議まであと15分しかない」
閣下は懐中時計を見ながら仰った。
はいと応えると少しばかり早足で私たちは城へと入っていった。
城に一歩入るとまずあったのは大広間だ。
正面の左右にはカーブ描いて二階に繋がる階段があり、階段に挟まれた位置の壁には二枚扉がひとつあった。
辺りを見渡せばこの四角い空間の左右に長く続く廊下があり、使用人と思われる人たちが行ったり来たりしているのが見て取れた。
「審議は応接室にて行う。応接室は階段の間にあるあの部屋だ」
大広間の中心で立ち止まると、閣下は先程認識した正面の二枚扉を指差していた。
「俺は……一旦自室へ戻って書類をかき集めて来なきゃならないな。
先に入っていてくれ、書記長あたりがいるだろうから退屈はしないだろう」
「承知致しました」
私が軽く会釈をすると、閣下は「楽しみにしているゾ」と言って背を向け早足で右の階段を上っていった。
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暁の園(暁夢路)(プロフ) - みしろさん» い、今通知を見てビビり散らしております……か、感謝の極みであります……!! 読みやすいと言っていただけて安心しました、如何せん小生文体が堅くなってしまった人間でしたので(-_-;) コメントありがとうございます、頑張ります!! (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2136db8e08 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 回答パートも嫌味がなくて納得できるし、こんな考え方もあるんだ…!と素直に感心しました…これからも体調にお気を付けて頑張って下さい…!勝手ながら影からひっそり応援させていただきます (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 圧倒的な語彙力を感じました…とても読みやすくて頭にすんなり入ってくるので時間を忘れて熟読できました…! (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁の園 | 作成日時:2019年5月14日 20時