陸拾弐 ページ19
Aside
彩「先方が来るまでまだまだ時間がありますので、本日の打ち合わせについて説明しますね。」
昨日のあれのせいで、彩の顔がちゃんと見れない。彩のせいじゃないけど、茨先輩とそっくりなんだもん。
彩「聞いてます？って、昨日のあれのせいですか。くそ兄貴がすいませんね。」
A「あ、いや、無理やり眠らせたこっちも悪かったから...。気にしないで。で、なんだっけ？」
彩「Aを、レースクイーンにしたいという話です。実際にはレースガールとかになりそうですが。」
A「あー。三重にあるサーキットのやつね。個人的に行ってみたかったから嬉しいな。でも、コズプロとしてはどうなの？」
商売だからそれが１番大事なこと。時には個人の感情は無視せざる得ない。
彩「問題ありません。むしろ喜んでましたよ。」
A「ふーん。なら、受けちゃおっか。10月くらいは三重かな。」
彩「...そんな時期に何があるんですか。」
A「世界最高峰といわれる国際レース」
彩「あんたがモーターレースに詳しいだなんて意外でした。」
A「まあ、わざわざ有料回線回してまでモーターレースを見てるJCなんて普通いないでしょ。」
時間はかかったものの、いい契約が結べた。個人的にも満足である。
ただし、お昼ご飯はさんでの試しの撮影が余計だった。
A「戻ったよー。レッスンやろー。」
専用ルームに入り、ドアを閉じた瞬間
ｽﾞｻﾞｰｰ。
彩/A「「は？」」
茨先輩がスライディング土下座をしてきた。
茨「昨日は、すみませんでした！」
彩「....」
フンッと顔を反らす彩。えっと、これは、どうすべき。空やかなも、微妙な顔してるし....
茨「お詫びのしるしです。」
私に渡されたのは、ちょっとこじゃれた洋菓子のセットと、抱き枕にできそうな、可愛い皇帝ペンギンの赤ちゃんのぬいぐるみ。
彩も、お菓子は一緒。ぬいぐるみは、大きなラブカだった。
A「え、えっと、あんまり、気にしてないよ。こっちも、悪かったから、ね。」
彩は、受け取ったぬいぐるみを抱き締めている。
彩「お兄ちゃんの、ばーか。」
彩、がんがんに拗ねてる。てか図がだいぶシュールだよね。このぺんちゃんのぬいぐるみは可愛いし、もふもふだから使おう。
弓乃「失礼します、アゲハの皆さんに相談がって、茨、あんた何してるんですか？」
弓乃ちゃんが茨先輩に向けた視線は、絶対零度の如く冷たかった。
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作者名：綾 | 作成日時：2020年8月24日 11時
