92・~18~恐怖 ページ42
一人が怖いと思うようになったのは、近藤さん達と暮らすようになってからだった。
あの家で暮らす間は思わなかった恐怖を知った時から、誰かに過去のことを知られるのが怖くて怖くて仕方がなかった。
近藤さんに恋心を抱いた時は一番酷かった。
一人で寝るのが怖くて、よくミツバさんに一緒に寝てもらったものだ。
江戸に来てからは、土方さんと夜遅くまで仕事をして極力一人にならないようにしていた。
原因はわかっている。
大切に思う人がいればいる程、いつか失うことを考えてしまう。
特に、過去を知られると嫌われるんじゃないかと思ってしまい真選組のみんなに何も話すことが出来なかった。
この仕事ということもあり、自分の死より他人の死が怖かった。
失うことが怖かった。
嫌われるのが怖かった。
恐怖症にも近かったのだろう。
万事屋に始めていった時、私の話を聞く銀時の目はすごく虚しそうな目だった。
初めから知っていたこともあるだろうが、きっと端から見てかなり暗かったのだろう。
でも、それでも。
私はただ…、
ただ……――――
「……ん…」
寒気がして、目が覚めた。
ゆっくり体を起こして部屋を見渡すと、窓が少し開いていた。
―――隙間風、か……。
窓を閉めてもう一度布団に入ったが、どうも一度冷えてしまったためか眠れない。
「……銀時?」
声をかけて覗き込むが、眠っている。
―――銀時が私に寝顔を見せるなんて……。
毎晩先に寝るのは私で、毎朝先に起きるのは銀時だった。
―――飲み物買ってこよ……。
銀時に布団をかけ直し、財布と鍵を手に部屋を出た。
「……んー…」
のびをしながら廊下を歩く。
フロントの近くの自販機でお茶を買っている時、何気なくソファの方に視線をやった。
「……寝たんじゃねぇのか」
「……ちょっと起きちゃって」
書類を手に煙草を吸う土方の隣に座る。
「こんな所まで来て仕事ですか」
「もう終わる。…あ、一口くれ」
「お疲れ様です。どうぞ」
土方にお茶を渡して、ぼーっと天井を眺める。
「……間接…キス」
「……っ…!?」
Aの呟きに土方は思わず吹いた。
「はぁ…!?なな、何だよ急に…!」
「…彼がそんなこと言ってたから」
そう言うと土方は気まずそうに俯いた。
「…今まで何度も貰ってた」
「あまり気にしてなかったなって私も思いました」
二人で苦笑にして言った。
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けんそう(プロフ) - この作品が大好きです!銀さんの気持ちも主人公の気持ちの揺れ動きようも細かく書かれていて、読んでいていつもドキドキしてしまいます!これからのお話が楽しみで仕方ないです。頑張ってください! (2018年4月3日 19時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
坂田時雨 - さきたたたたた。さん» 更新が遅くなってしまい本当に申し訳ありません!!!書き溜めてますので早急に更新されていただきます…!そう言っていただけて嬉しい限りです…( ;∀;) (2017年8月12日 20時) (レス) id: 82ecc738cc (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新お待ちしていました!!!通知でみたときに本当に嬉しくてガッツポーズしてしまいました…!!時雨サマが書くさらば真選組篇たのしみにしています!! (2017年6月8日 10時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)
新 - 最新楽しみに待ってます!今まで読んできた小説の中で1番心にきました! (2016年8月10日 12時) (レス) id: 128b60acfe (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新楽しみにしていました!私が読んでいる銀魂の作品ではいちばん好きです!これからも更新頑張ってください!心から応援しています!! (2016年6月23日 22時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:坂田時雨 | 作成日時:2016年3月12日 21時