90・~16~忘レテ ページ40
言えない。
「これ美味しい……初めて食べるわ、こんな豪華なご飯」
嬉しそうにご飯を食べるAを前に銀時は気まずい気持ちで箸を動かしていた。
起きたはいいものの、どうやらキスされたことは都合良く覚えていないらしい。
確かに顔真っ赤だったし、途中から記憶が飛んでいたとか。
―――良いような悪いような……。
「……さっきから全然食べてないけど、お腹空いてないの?」
「あ?……いや、ちょっと考え事してただけだ」
そう言って白米を口に含む。
余計なことを考えるのはやめよう。
こんな美味しいものを食べれる時なんざ滅多にねぇし。
「……今日はありがとね」
「それさっきも聞いたぞ」
「お礼くらい何度も言わせてよ。……私、こうやって誰かと出かけるってことも今までなかったし、楽しみで夜眠れなかったり、そういうこと、知らなかったの」
銀時は箸を止め、水を飲んだ。
「……そういうこと、これから同じ部屋で寝る男に言うなよ」
「は?何でよ。私はただ純粋に……」
銀時は机に手をついて身を乗り出し、Aの頬に手を添えた。
「……我慢、できなくなっちまうから」
「………え…っ…」
銀時との距離が数センチというところまで近づいた時。
部屋のチャイム音が鳴った。
銀時は舌打ちしてドアの方に向かった。
ドアを開けると、近藤と土方がいた。
「……何でいんの」
不機嫌な顔で聞くと、近藤が笑って言った。
「旅館の人に聞いたら教えてくれたんだよ。酒買ってきたし、一緒に呑もうぜ」
「真選組局長に部屋聞かれたら普通教えるわボケ。酒は貰うが断る」
「んなこと言わずにさぁ、な?なートシ」
「俺はこいつと酒なんぞ呑みたかねぇ」
土方が銀時と睨み合っていると、部屋からAが外を覗いてきた。
「あ、結月!酒持ってきたんだ、呑まねぇ?」
「近藤さん……でも仕事は……?」
「あ、大丈夫!今日の分は終わらせてきたし」
Aが戸惑って銀時を見ると、銀時が振り返った。
目が合うと、銀時はAを睨みつけた。
「……わーったよ。俺の負け…。入れ」
仕方なくと言った感じにそう言い、近藤と土方を部屋に入れた。
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けんそう(プロフ) - この作品が大好きです!銀さんの気持ちも主人公の気持ちの揺れ動きようも細かく書かれていて、読んでいていつもドキドキしてしまいます!これからのお話が楽しみで仕方ないです。頑張ってください! (2018年4月3日 19時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
坂田時雨 - さきたたたたた。さん» 更新が遅くなってしまい本当に申し訳ありません!!!書き溜めてますので早急に更新されていただきます…!そう言っていただけて嬉しい限りです…( ;∀;) (2017年8月12日 20時) (レス) id: 82ecc738cc (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新お待ちしていました!!!通知でみたときに本当に嬉しくてガッツポーズしてしまいました…!!時雨サマが書くさらば真選組篇たのしみにしています!! (2017年6月8日 10時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)
新 - 最新楽しみに待ってます!今まで読んできた小説の中で1番心にきました! (2016年8月10日 12時) (レス) id: 128b60acfe (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新楽しみにしていました!私が読んでいる銀魂の作品ではいちばん好きです!これからも更新頑張ってください!心から応援しています!! (2016年6月23日 22時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:坂田時雨 | 作成日時:2016年3月12日 21時