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69・歌舞伎町の帰宅路。 ページ19

「……さん。…銀さん!」



店主に肩を揺さぶられて目が覚める。



「もう店閉めるよ。帰れるかい?」


「あー……ん。神楽ー、新八ー?」



目を擦りながら名を呼ぶが、二人とも熟睡している。



「ったく…運んでやっかぁ……」



銀時が眠そうに立ち上がると、店主が苦笑した。



「銀さん、彼女さんどうすんのよ」


「……彼女?」



ぼーっとして横を見ると机に突っ伏して寝ているAがいた。


顔が赤く完全に酔い潰れたのだろう。



「Aちゃーん?」



肩を叩くが、反応なし。




「本当に大丈夫かい?」


「ぉ…おう…」



銀時はAを背負い腕でどうにか新八と神楽を抱きかかえた状態で出口に立っていた。


正直自分も酔い潰れた上でのこの労働。


仕事の後の一杯とは真逆のパターン。苦しい。



「最近ここらで暴漢が出るんだよ。丁度この時間帯。まぁ銀さんなら大丈夫な気もするけど、気をつけなよ」


「おう……それじゃ、またな…」



三人を抱えて店を出て歩き始める。


少し歩いてから銀時は目を伏せた。


ーーー暴漢、か。


何かつけられてる気がしなくもないがそいつらが暴漢だろうか。


いや、でもこの状態で狙われたら最後死ぬぞ、どうする、俺。


まず一発目は避けられねぇな。受けるしかねぇ。



「お兄さん」



後ろから声がして銀時は覚悟を決めて振り返った。


そこには少女の姿があった。



「……どしたの」


「これ、落としたよ」



少女が渡してきたのはAの携帯電話だった。



「おう、悪ィな。お前、親は?」


「あそこにいるよ」



少女が指差す先を見ると、父親らしき人がいた。


軽く会釈し、少女を帰す。


Aの携帯電話を懐にしまった時屋根の上から音がした。


銀時が顔を上げると同時に男が刀を振り下ろしながら降りてきた。


一歩身を引き刀を避ける。



「……最近の暴漢ってこんなに凶悪なんだな。知らなかったわ。どうなってんの?真選組よぉ」



そう言い男に背を向け走り出す。


刀の抜けない状態じゃあんなの相手にすることはできない。


少し走り出した銀時だったが立ち止まる。


さっきの家族は大丈夫なのだろうか。


あっちが標的になる前に仕留めた方がいいのかもしれない。


そう思いきた道を引き返し勢いよく男に突っ込み男の刀を蹴り上げる。


動揺した男の顔面に頭を思いっきりぶつけ、道に落ちていた縄で縛った。



「…よし」



これでのんびり帰れる。

70・初めてだった。ー回想ー→←68・家族愛。



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 土方さんは本当に優しい   
作品ジャンル:恋愛
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けんそう(プロフ) - この作品が大好きです!銀さんの気持ちも主人公の気持ちの揺れ動きようも細かく書かれていて、読んでいていつもドキドキしてしまいます!これからのお話が楽しみで仕方ないです。頑張ってください! (2018年4月3日 19時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
坂田時雨 - さきたたたたた。さん» 更新が遅くなってしまい本当に申し訳ありません!!!書き溜めてますので早急に更新されていただきます…!そう言っていただけて嬉しい限りです…( ;∀;) (2017年8月12日 20時) (レス) id: 82ecc738cc (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新お待ちしていました!!!通知でみたときに本当に嬉しくてガッツポーズしてしまいました…!!時雨サマが書くさらば真選組篇たのしみにしています!! (2017年6月8日 10時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)
- 最新楽しみに待ってます!今まで読んできた小説の中で1番心にきました! (2016年8月10日 12時) (レス) id: 128b60acfe (このIDを非表示/違反報告)
さきたたたたた。(プロフ) - 更新楽しみにしていました!私が読んでいる銀魂の作品ではいちばん好きです!これからも更新頑張ってください!心から応援しています!! (2016年6月23日 22時) (レス) id: 5998652ea1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:坂田時雨 | 作成日時:2016年3月12日 21時

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