存在証明７ (ページ1)

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２９６話ページ1

：？目線：ー？年前ー

火花家は、代々剣の名家として有名だった。
家のしきたりでは、本家の血を継ぐ男が後を継ぐ決まりになっていた。
だがその世代、男は生まれることなく、二人の女の子が誕生した。
喜ばしいことだった。だが、誰が後を継ぐかで、親戚一同は話し合いをした。

親戚１)やっぱりここは、姉が……

親戚２)そうね。妹の方は、母親と同じ病気なんでしょ？

親戚３)部屋から出るのさえ、苦労するみたいよ

話し合いの結果、一族の後を継ぐことになったのは姉の方だった。
病弱である妹は、火花家の女のとして、できる範囲のことをやることになる。
それから、姉の苦しい日々が始まった。

華道の先生)Aさん、ここにこれを持って来れば、バランスのとれた良いものになりますわ

一族の女として、多くの習い事を行い……

貴)はぁ……はぁ……

父)休むな！相手に考える隙を与えるな！

次期当主として、剣の稽古にも専念していた。
全ては一族のため。だから姉は、友達を作ることも、人と関わることもなく、ただ使命としてそれを受け取る。
だけど、彼女はそれを苦とは思わなかった。
剣に関しては、父と祖父に憧れ、女性として、母と祖母に憧れた。
頑張れは、きっと４人みたいになれる。それに……

乃)あねさま。お歌を、歌ってください

少しの休憩の時間、妹と母と共に過ごす時間は幸福だった。
大好きな家族がいる。大好きな家族と同じところに行きたいから。
たとえ自分を押し殺しても、友達と遊びたいと思っても。そこに行きたいと、ただただ憧れて、人生を走ってきた。

やがて、姉の才能は開花し、１０になる頃には、父と祖父を超える剣の腕を身につけ、当主としての風格も出てきた。