Part 6 ページ6
A「ありがとうございます」
弟者「ううん、それより」
お猪口を私に向ける。
私は弟者さんの隣に座ってお酌をする
弟者「今日はいつもより人が沢山いるね」
A「はい、今日はお侍の方々が来てまして」
弟者「ふ〜ん、そうなんだ」
お酌をしながら他愛もない話をした。
弟者「Aちゃんは1曲、演奏とか出来る？」
A「練習中でぎこちないですけど…」
弟者「いいよ、聴かせて」
A「わかりましたっ…」
三味線を出しては弾き始める
緊張で少し手が震えているけど、私は夢中になって弾いた。
弟者「上手だよ、ありがとう」
A「いえ、こちらこそ。」
弟者「ふふっ」
A「えっ？…」
頬がお酒で少し赤い。
彼は細く笑う。
弟者「遊女にしちゃ純粋なところが、なんか新鮮な感じで可愛いよ」
A「あ、あのっ…」
すごく恥ずかしくて顔が一気に赤くなる。
そっと、私の頬に手を伸ばして撫でた。
弟者「また会いに来てもいいかな？」
A「は、はい！喜んで」
弟者「ははっ、ありがとう」
それからというも、弟者さんは毎日、会いに来てくれた。
座敷でお酌をしながら他愛ない話や、1曲弾いたり、座敷遊びをしたり、会いに来てくれるこの時間が私にとってはすごく嬉しくて楽しい時間だった。
女将「今日もあなたに指名が入ってるから」
A「はい！わかりましたっ」
私はまた弟者さんだろうと思って座敷に向かう。
いつものように襖を開けて挨拶をした。
A「Aです。呼んでくださりありがとうございます。」
そう言うが返事がない。
あれ？と思って顔を上げると、そこには弟者さんではなく青い髪に眼鏡？だろうかガラスの部分が少し黒みがかかってる。
「……」
私が呆気に取られていると、青い髪の男は私に杯を出した。
慌ててその人の隣に座るとお酒を注ぐ。
しばらく沈黙が続いた。
「お前、遊女だろ？何か芸の一つもないのか？」
A「！、す、すみません…。では、何か1曲弾きましょうか？」
私は直ぐに三味線を取り出そうとした。
すると、青い髪の男が私の腕を掴む
「もういい」
ユキ「え？…あ、はい。ごめんなさい」
「それより…」
バタンッ
A「！？…」
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作者名：さくら | 作成日時：2020年1月10日 22時
