026:宮くんと私とメシア ページ28
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「ごめん、お待たせ」
うちの夕飯は何かなーと、考えていればかかった声に振り向けば、駆け足でやって来た角名くんが目の前に立つ。
ゆっくりで大丈夫って言ったのに。
別れてから十分も経たないうちの登場に律儀さを感じて、思わず笑みがこぼれた。
「大丈夫だよ」
角名くんと肩を並べて、どちらからともなく歩き出す。
不思議だなぁ。
隣を歩く角名くんも、隣の席の宮くんも。
ほんの数日前までは、自分とは無縁だと思っていた人だったのに。
カロリーメイトから、まさかこんなに親密になるとは思ってもみなかった。
「そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど……」
「あ、ごめん。無意識だった」
「つまり俺に見惚れてたってこと?」
意地の悪い笑みを浮かべる角名くんに、胡乱げな視線を返せばムッとされる。
おぉ、レアな表情じゃない?
思わずニヤニヤして角名くんを見ると、「何笑ってるの」と頬を軽く引っ張られた。
「ちょ、すなくん!」
「はは、間抜けな顔」
そうさてるのは貴方でしょうが!!
今ならローキックをしても許されるような気がするが、私は優しい。
その手を払うだけにしてあげようと振りかぶる。
けれどその手が届くより早く後ろから伸びてきた手が、私の頬を摘む手を払った。
「えらい楽しそうな事してるやん」
頬の次は腕を引かれてバランスを崩した体は、そんな台詞と共に抱きとめられて。
ポカンとしながら見上げた視界に、不機嫌そうな宮くんが映る。
「角名じゃなくて俺を構ってぇや」
上気した頬を擦り寄せてくる宮くんに、私の頬まで熱くなったのは不可抗力だ。
あまりの至近距離に心臓を吐きそうである。
「アンタらこんなとこで何してんの」
そんな私を救うべくして響いたかの様な声は、顔を見なくても誰だか分かった。
メシア!!
宮くんの腕から脱兎の如く抜け出した私は、縋るようにその存在に抱き着いた。
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ria(プロフ) - 私の心にズキュンっときました。運命ですね。好きです(真顔)更新、頑張ってください! (2020年9月12日 20時) (レス) id: 52e75d4e08 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ味のリンゴ - なんだろ・・・・・・読み始めた時から運命だったのかな(は 、もう好きです(唐突 (2020年9月12日 17時) (レス) id: 106317acf4 (このIDを非表示/違反報告)
東花 - うん、、あの、、あれ、、もう、、うん、、好きです(語彙力) (2020年9月7日 15時) (レス) id: 8268995d78 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - いや、、なんか、、あの、、えーと、、好きです(迫真) (2020年9月7日 15時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さいとー | 作成日時:2020年8月15日 12時