アカシャ・クイール (ページ8)

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日が昇ってきた。赤い宝石のような大陽。気の持ちようで、見え方がだいぶ変わるらしい。

あの男が来てから、しばらく走っていると、家なのか店なのか、ぽつりぽつりと見え始めた。慌ててフードをかぶった。だがこれ、逆に目立つな。

？「嬢ちゃんちょっとこっち来な。」

下を向いて歩いていると、突然、有無を言わせない力で店に引きずり込まれた。またなのか。もう人は斬りたくないのだが。

？「嬢ちゃん、きっと逃亡中だろ？詳しくは聞かんが、その瞳の色はどうにかした方がいいな。」

薄暗い店の中で、年齢を感じさせない見た目の女が一人で勝手に呟いていた。きっと引きずり込んだのはこの人だろう。

アカ「瞳の色なんてどうにもならないじゃないか…」

ため息混じりにそう返すと、

？「それは、あたしの商売に乗ったって意味でいいね？」

と瞳をギラリと光らせた。

アカ「はぁ…あぁ。そういう意味でいい。」

今度こそ本当にため息をついた。

ルキア「やったね。あたしはルキア。嬢ちゃんとは友達になれそうだ。嬢ちゃんはなんて呼べばいい？」

アカ「私はアカシャ・クイール。言い当てた通りの、逃亡中。」

ルキ「ふぅ～ん。クイール。だから目が赤いんだね。ところで、随分と男っぽい口調じゃないか。」

アカ「そうか？」

ルキ「あぁ。それは逃亡中の仮面？それとも元々？」

アカ「元々かもな…でも表向きは女らしいと言われていた。」

故郷での苦い思い出が蘇る。思わず顔をしかめた。

ルキ「へぇ…男装させたら似合いそうだね。」

アカ「…そういう趣味はないが。」

ルキ「ははっ、冗談さ。それで？目の色は何色がいい？青、紫、金、碧…色々あるよ。」

アカ「目立たない色がいい。」

なぜ目立つ色ばかりを…

ルキ「うーん、じゃあ黒だね。あたしの髪と同じだ。」

濡羽色の髪を掬って、ルキアは言った。

ルキ「はいよ。目薬みたいに使いな。染まるから。効果は…短いかもしれない。もって3日だね。」

うわ、短い。まぁ…染まるだけいいか…

アカ「わかった。」

ぽたりと黒い液体を目に入れる。抵抗はあったが、背に腹は変えられない…
少し目が乾くな。ぱちぱちとまばたきをすれば、馴染んだかのように違和感は消えた。