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宿主「これが今日割る分で…少し多めに手伝ってもらうかな、こっちも追加で頼む。」
ガラガラと恐ろしい量の丸太が目の前に運ばれてきた。
アカ「うわ…」
思わず声が漏れてしまったが、宿代のためだ、仕方ない。訓練だと思えば…そう。最近ろくに出来ていないしな。大丈夫だ。
自分に暗示をかけて思い込もうとしてみる。
うん…やるか。
宿主「あーやっぱ人の助けがあったほうが進むな〜」
私が黙々と割っていく薪を運びながら宿主が言う。
アカ「それはっ……なによりっ…だっ…」
割りながらだから、途切れ途切れだが返事を返す。
斧って剣より重いものだったろうか。それとも私の力が落ちただけか。終盤になるにつれ重く感じられる斧を降り下ろしながら、そんなことを考えていた。
宿主「よし、姉ちゃん。交代だ。」
アカ「まだ…あるのかよ…」
宿主「いや、姉ちゃんがよく働くもんで。」
アカ「はぁ⁉」
宿主「一日延長してやるから、頼む。」
アカ「わかったよ…ルキアが居ないのが癪だが。」
宿主「水でも持ってきてもらうか…ちょっと丸太ここに運んどいてくれ。あの姉ちゃん連れてくるから。」
アカ「わかった。」
疲れてはいるから、あまり速くは運べないけれど…まぁ。
ランナーズハイってやつかもしれないな。これ。
ルキ「え〜っ、あたし体力には自信ないんだよ?」
…なんて、ルキアの声が聞こえてきた。
ルキ「お疲れ、アカシャ。んで、なんであたし?」
アカ「ルキアだけ居ないのが癪だった。」
ルキ「うわー」
宿主「赤目の姉ちゃんはちょっと休んでな。さて。そっちの姉ちゃんは俺が割ったのをそっちに運んどいてくれ。」
ルキ「は〜…まぁ力だけなら自信はあるが…」
馬鹿力め…ちょっと訓練したらルキア、結構強くなれる気がする。
宿主「じゃあ適任だな。ま、これだけ働いてくれるとは思っていなかったが。」
ルキ「あたし達をなんだと思ってんだい」
宿主「宿代泥棒。」
ルキ「即答じゃないか。…否定はしないが。」
宿主「ほら、溜まってきてんだ、運んでくれ。」
ルキ「は〜い…」
犬猿の仲って訳でも無さそうだな。
休憩挟めたし、万々歳だ。
しばらくぼーっと二人の様子を眺めていた。
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作者名:真 @アドミーク | 作成日時:2022年8月26日 17時