恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅲ【男主】 (ページ44)

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ロボロと生徒会面子が逃げ戸惑う生徒を闘技場の外へ避難させるなか、俺は1人、ドール目掛けて攻撃や結界で動きを止めていた。

(どこだ犯人…?)

まったくそれっぽい奴らが見当たらない。別の場所から魔法をかけているのだろうか?

md「ゼペルさ…」
「おおっと、大丈夫ですか先生?」

なんとかドールの強さを抑えてくれていたミドリの元へ向かう。
犯人どもの魔法も強力なのか、数の多さで集中力が持っていかれたのか、闇属性に慣れていると思っていたミドリもかなり疲弊していた。

「犯人は?」
md「ううん。わからない…隠れてるのかも」

運営でもまだ状態把握できてない、と追加で情報をもらう。

(てっきりあの担任が指示したものかと思っていたが違うのか)

md「抑えてる時にわかったけど、犯人が倒れても人形は動き続ける……だから、早く止めないと」
「いやあんたは休んでてください。それ以上魔法使ったら命に関わる」
md「でも…」

「俺がこの騒動を1人で止めれないと?」

今の俺の表情、他のカルト集団の運営たちが見たらどう思うんだろうか。まだ運営全員が判明してないから反応をイメージすることはできないが、最高だと思う。
その証拠に。

md「…1番近くで見ててもいい?」

ほらね。

「もちろん、最上級のご褒美だろ?」
md「ウン、すごい嬉しい…」

黒いハートがチラつく。
完全に手中に収まりつつあるためだろうか。もしかしたら俺はこの教師になかなかヤバい魔法をかけ続けているのかもしれない。

不思議と心に湧いてくる高揚感を噛みしめながら、右手を前に出す。どうやら生徒会の面々も指示があったのか既に避難していた。

「…なら本気でいけるな。いただきまーす」

食事の合図。
手のひらに黒い箱が出現した直後、ドールの体内に入れられていた闇属性の魔力が一斉に箱へ流れ込む。
まるで環境を破壊する黒い煙みたいな魔力を集め続けた。

md「スゴい…」

魔力を吸われきったドール達が崩れる音が1つ……5つ……10……30…
煙が途絶えた瞬間に拳を握る。

「ごちそうさん」

闘技場のドール達は全て地面に倒れて動かなくなった。闇属性の魔力が詰まった箱も俺の体内へと戻っていく。

「なんだこれ…」

アンとその子どもたちから契約時に感じた魔力と違って、クソ不味い味がした。