恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ【男主】 (ページ32)

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エマージェンシーページ32

無事に闘技場へと入り待ち構えていたルナと相対する。とはいえあちらは俺を真剣な表情でじっと見つめるだけで口は開かない。ぶつかったことはどうも謝らないらしい。

(こちとら自分の身より先に貴方守ってたのだが、まさか覚えていらっしゃらない？)

前世で有名なゲームとはいえ、主人公をこんなキャラ設定にしてしまってよかったのだろうか。突っ込む人がいなかったから少し心配になった。

lu「ゼペルさん、貴方に一つ言いたいことがあります」

呑気に考えていれば、ルナは決心をした様に口を開いた。

lu「貴方が使う闇属性の魔法、今すぐ使うのをやめるべきです！！」

神様からの手紙には書いてなかったセリフに思わず固まった。何言ってるんだこの主人公。ゲーム通りではない出来事には既に色々あったが、これは流石に発言が突発すぎる。

「理由は?」
lu「私は飛行魔法を使う試験で貴方の黒魔法をこの身で経験しました。単刀直入に言います。あんな魔法は…恐ろしすぎる」

助けてもその反応をするとは。こう言ったゲームの主人公とは誰にでも優しいものじゃないのか？思わずため息が出てしまう。

「噂やデマの影響じゃないですか?」
lu「そう言った内容は私貴族じゃないんで知らないです。でもじっ」

だいいちに。俺は話を遮る様に言葉を被せる。
「それはあくまで貴方の経験だ。何の根拠もない」

主観だけでどうにかなる…んなわけないだろう。世界が違えどそこは変わらないはず。こちとら前世で自分の意見ではなく客観的に見た結果からの考察をとれほど書いてたと思ってるんだ。

それでも何か言おうと口をピクリと動かすルナ。その姿に俺はまた息を吐きそうになる。

(そんなんでいいのか主人公？)

自分の精神年齢が前世の頃を足せば30代後半になってしまうためか、うわぁと少し呆れてしまっていた。

「話してるだけ埒があかないでしょう。試合を始めますよ」
lu「…！」

こうしてルナとの戦闘が始まったわけだが、俺が次に目を覚ますのは翌日の朝方だった。