閉幕 ウィンターカーニバル! ページ42
tm「2人ともお疲れ様。では、気になる結果発表の時間だ」
ウィンターカーニバル閉会式の後。現在、学院長室。
久々にチョコとは違う紅茶の香りに包まれる部屋で、俺とルナは極秘に行われた裏行事『ハート集め』によって集めの結果を学院長トモに伝えられようとしていた。
隣で手を胸の前で組みお祈りしているルナの目元は腫れている。ショコラカップでの大敗が相当悔しかったのだろう。
tm「勝者はクラシアさんだ。おめでとう」
lu「や、やったぁ〜!」
(へぇ…)
結果はルナの勝ちらしい。
指の間から見えていたあの汚れたハートたち。質を求められていたはずなのに、どうやら勝てなかったようだ。
lu「私の方が綺麗な心ジュエルを集めて」
tm「何ふざけたこと言ってるの?」
おっとこれは。はしゃいでいたルナから学院長に視線を戻せば、サラサラの赤い髪からパチパチと電流を流す黒髪へと変化しているではないか。
tm「君が集めていた心ジュエルの色、あの色は崇拝。1番集めてはならない物だったんだけど…もしかして概要知ってるくせしてルールまではちゃんと把握できてなかったの?」
チクチクチクチク。学院長は今まで溜めていた鬱憤も含めているような棘を吐いていく。
tm「このイベントにおいて1番の質を持つ心ジュエルは虹色と夢ジュエルだし?ほんと、とりあえずハート集めりゃ勝ちみたいな短絡的思考でこの行事汚さないでもらってもいいかな?」
ていうか。学院長はニッコリと笑う。
tm「それに俺、勝者とは言ったけどなんの勝者なのかは言ってないよね?」
lu「…え?」
すでに半泣きのルナの顔が徐々に青ざめていく。
tm「あくまで君が勝者なのは、あくまで審査点の一つ、心ジュエルの量においてだ。ジュエル一つ一つの色、質、形…他の審査ではゼペルさんが圧倒的に優れていたよ」
そもそも君は心ジュエルはどんな形か知ってる?とルナに尋ねる。
そりゃ名前に心だってついているのだからハートだろと思っている俺の横で、ルナは答えず口籠もっていた。
tm「…ゼペルさん、わかるかい?」
「ええ。どれもハートの形をしていました」
tm「うん。ハートの形こそが心ジュエルの本当の形。それすらも確認せず集めていた君のジュエルは…」
学院長が転送魔法を発動する。
ゴロ、と現れたのはどれも歪な形のジュエルとも呼べない石たちだった。
818人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時