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カチャリ、自身のテーブルに用意していた同じトリュフにフォークを突き刺し、転移魔法を発動させる。
「…!」
会長の斜め前、頭二つ分上に飛んで彼目がけてトリュフを口へと入れようとした。が、すんでのところで腕を掴まれトリュフは彼の唇から2センチのところで止まってしまう。
gr「随分と手荒なことをしようとするじゃないか。やはり何か企んでいたと」
「おやおや、特待生からの情報ですか?それとも…」
An「コチラの方でしょうカ?」
まるでお客に商品を見せる店員の様なポーズでオスマンを見せる。しかし彼はニーアの魔力を込めたリボンに縛られておりこちらを険しい瞳で見ていた。
「やはりそうでしたか」
Ri「ま、まさかオスマン様まで…」
「本当ですよ…まったく。すぐ治せるでしょうから、2人とも隣に」
An「了解デスわ」
アンに声をかけ、2人とオスマンは隣接させたテントに移動していった。そこにはミドリとレウが待機しているし、チョコを食べさせればすぐに戻るだろう。
「あなた、確認作業の道すがらにあの方を落としましたね?」
gr「そこまでわかるとは…やはり貴殿は恐ろしいな」
「そりゃどうも」
予測ではあるが…昨日まで味方陣営でいたオスマンがルナ側の陣営に戻ったのは、会長と共に出店している店の休憩時間が始まってから。
このウィンターカーニバルに出店している生徒はこの店の2人だけではなく他にも数店ある。そんな彼らはレウによって家庭科室を俺が独占した以上、寮もしくは食堂の調理場でチョコを作るしかない。
恐らく、彼女はその生徒たちに紛れ込んでいたのだろう。
結果として。何も知らない生徒からの試食でチョコを貰い口に運んでしまい、操られた意識の中でゼペルがこの店の商品を作り食べさせようとしてくる、なんて伝えたのかもしれない。
タラコの発言をまんま使うことも、姑息な手を使ってることも…はらわたが煮え繰り返りそうなほど腹が立つ。
(というか、俺でさえ一瞬の違和感と勘で魔法にかかっていると踏んだというのに…なぜ彼は気づいたのだろう)
これが「長い間ともにいたからこそ」ってヤツだろうか。なんとも素晴らしいキズナだ。
gr「して、俺をどうする?店内での戦闘は避けたいのだがなぁ」
「当たり前です。…ですがこのままお帰りくださいなんて思ってないでしょう」
蒼と黒と赤の瞳がぶつかり合う。互いに少しでも動いた瞬間に戦闘が始まりそうな張り詰めた空気に、アンとニーアがいなくてよかったと思った。
「…!」
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時