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掴んだ彼がなぜかこちらより驚いてしかも涙を流している。料理は食べ終えているようでお椀の蓋が閉まっていた。
ut「え…しょ、ショッピくん？」
gr「どうしたんだ急に?」
ht「…オスマン、ゾム」
os「わかっとる」
ショッピの異変に知らない者と知る者がそれぞれの反応をとる。オスマンは家庭科室の扉の前に植物の壁を作り上げ、かつ変化のないウツを蔦で縛った。しかもゾムは静かにさせるためかタオルを口に詰めている。
一方でばつ印のマスクを鼻上まで戻したヒトランは会長をカウンターまで引っ張り事情の説明に入っていた。
(仲がいいのか悪いのか…)
毎度忙しい人たちと感じつつ、俺は改めてショッピに向き直す。今度は身体も彼の方に向けて。
未だ涙を流す瞳は光と淀みが混ざり合い、互いに消そうと競り合っていた。
「どうしたんだ?」
shp「…わか、らない。どうしてこんな……Aが他の人と話してるの見て、苦しくなって。"今まで"は…」
____________今までは?
「ショッピ！？」
何かのスイッチだったのか。"今まで"その言葉を呟いたショッピは胸を抑えて苦しみだした。まるで俺が左胸の激痛に苦しんでいた時のように。
おそらく、瞳の状態が心でも起こっているのだ。本当の心がルナの魔法に抗うために。
zm「A、大先生も様子が悪くなってる!」
「そっちも…⁉︎」
疑問を持った本人だけでなく、この場にいたウツまで同じ状態で苦しみ始めた。
(2人とも…！)
今回ばかりは学院長にまたチクチクされても仕方ない。そう思いながら俺は咄嗟に調理場へと走った。
黒いエプロンを一瞬で身につけ、指先に魔力を集めた。
(ゾムがいるから、ペイントさんみたくやったらそれこそ火に油。ならば…！)
ボウルの後ろ、冷蔵庫の取っ手の裏、包丁の握る場所、靴の裏にオーブンの底。
見えない場所に、かつカウンターの2人も誰も察知できない魔力量で魔法陣を貼り付けフルスピードで調理を始めた。
「会長!あの2人に痛覚緩和の魔法を!」
gr「素直に時間稼ぎとでも言ってくれていいゾ」
ht「Aの優しい想いを捻じ曲げないで貰っていい?」
gr「い、いや〜そうだな。善処するゾ!」
「お願いします」
ーーー
tm「へぇ〜自分で習得しちゃったね」
pe「複数同時発動…しかも遠隔操作。俺が教えること減った…?あれ?」
tm「頑張って補足分を考えな」
pe「おんまぇ…」
tm「頑張れ〜」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2022年12月1日 19時
