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kn「ほーん。それでアイツ寮に帰ってこなかったんか」
翌日。レウの魔法実技の時間、シナリオにも存在するルナとチーノが戦う場面にて。俺はコネシマと結界から離れた端の方で2人話していた。
当然、話の中心は弱っていたウツについて。
特段仲のいいコネシマはあり得るとしたらお前のとこやろと当然の如く聞いてきて、俺は今部屋で寝てらっしゃいますと返す。そのまま事の顛末を掻い摘んで説明した。
kn「俺が初めて会った時からアイツ、時々弱るんよ」
彼はチーノの勇姿を眺めながら説明をする。
話を聞くにはこうだ。
ウツはいつも飄々とした雰囲気で隠しているが、承認欲求、独占欲が人並み以上に高くほぼ満たす事ができない。そのうえ自身を偽り嘘をこぼすため精神が時折不安定になってしまうらしい。
結果プレイボーイとなり少しでも欲を満たそうとする事に。多くの女性を口説きそれ相応の関係を持っていたため今回ほどひどい状態にはなる事はなかった……のだが。
kn「…アイツ、今までの関係全部キレイにしたらしくてな」
思わず裏返った声が出る。
確かそれをするのは主人公への感情に気づいた頃、正確に言えばあのメーターが90を超えてから……。
基本的にウツのシナリオは親愛度の上昇が難しくて、3学期から滑り込み本格ルートが定石とフォロワーさんも言っていた。
「訳がわからない…」
溢れた言葉はどこか棘があった。
昨日の発言や1学期の期末試験でのあの行動、病んでまで令嬢たちとの関係を洗ったのは俺との関係のためで間違いはない。
だが理解ができないのだ、俺には。
昨日の好きという言葉に、意味に、ウツの気持ちが。
kn「…お前にもわからないことってあるんやな」
「そりゃありますよ。俺をなんだと思ってるんですか」
kn「えーっと、面白いやつ?」
「はあ…?」
ケラケラと笑うコネシマ。頭をガシガシとかく俺。
人間の心なんてわかる訳ない。あんな前世を過ごしていたのだ、無理に決まっているだろう。
md『Aｻﾝ』
ふと、ここでピコンとテレパシーが入った。
md『Aさん大変。鬱先生が寮の外出ちゃった』
魔法も微弱なものだったから起きてしまったのか。
あの状態が続いているだろうし、今すぐ戻らねば何が起きるかわからない。
「…すみません、すこし戻ります」
kn「おお。先生にはうまく言っとく」
感謝の言葉を告げ、急いでウツのもとへ向かった。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2022年2月8日 15時
