SideStory joke ページ29
4月1日。それは前世の世界では午前中は嘘をついても良い……みたいな日であった。
実はデスソース飲み干せますとか、Vデビューしますだとか。SNSでは皆がふざけ合いとんでもな名前になっていたことを記憶している。
だからつい言ってみたのだ。
"つい"言ってしまったのだ。
「俺、実は好きな人できたんだよね」
毎度のことながら動かない表情で。黒板より遥か奥を見つめるかのような視線を作って。
それとなく朝のHR前にポツリ。
今年になってやっと同じクラスになったシャオロンとゾムが固まった。
遊びに来ていたロボロとウツもカチコチに固まった。
「ぷ……あっははっ。4人とも素直すぎ」
思ったよりも"ガチ"の反応をしてきたため、つい笑いを堪えることは不可能で。そんなにこの4人はピュアだっただろうか。この学院生活でトップを狙えそうなほどのマジ焦り、嘘をついた側としては面白すぎる。
ケラケラと笑いながら嘘だよと言った。
「とある地域でこの4月1日の午前は嘘をついてもいいっていう文化みたいなものがあるんだ。面白いからついね」
大成功〜とピースすればシャオロンがはぁぁ〜と息を吐きながら席にずるずると座りこむ。
sha「お前の冗談分かりずらいわ……」
zm「お、おお、お前ガチで焦ったやんか‼︎」
ゾムは俺の肩を勢いよく揺さぶり嘘なんて言うなと叱ってくるのだが、遊びに来た2人は未だ無言でこちらをじっと見ていた。
「ご、ごめんな…?」
ut「今度は僕の心が壊れそうやった」
「えっ」
rb「今日は一日中ずっとそば離れんからな」
「あっハイ」
俺に対する感情が特に重い2人にはあまり向かない嘘だったなと今更気づく。今日だけじゃなく最低でも1週間は離れてくれない気配を察した。
さてここで物理的な気配が後ろから突然発生する。
振り返れば今でも俺があげた耳飾りを大切に付けている元担任が。
ra「A〜?嘘はダメって前言ったよね〜?」
「げっ」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2022年2月8日 15時
