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みんな、みんな！
聞いた？聞いちゃった？
月にまつわるこわ〜いウワサ！
真っ赤なオツキサマの日に闇の魔法を使うと、
普段よりもずーっとすごい力が発揮できるんだって！
誰かを消すことも、誰かを操ることも簡単にできちゃう！
でも気をつけて、きをつけて！
きっと烏は見ているよ！
烏は全てを知ってるよ！
使ってみよう！つかってみよう！
きっと結末は…
ケツマツは…？
くすす、クスス
やってみよう！
やってみよーう！
大きな力はきっと素晴らしいんだろうねー
んねー？
ーーー
今夜は十五夜、綺麗なまんまる満月。
静かに眺めていれば、皮膚に血が滲んだ時のように赤が広がっていく。
1人の生徒が校舎と寮の通路の間に位置する中庭へやって来た。
中央まで行けば、足下から魔法陣が描かれる。
?「認めさせてやる……僕は……禁忌のあの方の様に素晴らしい力を持っているんだ…！」
誰に言い放った言葉か不明な発言は、誰もいない庭に落ちていく。
たくさんの黒い羽たちと共に。
無惨に、血潮が飛ぶほどに。
それを屋上から眺める者が1人。
乾いた笑いの後に「醜いなぁ」と冷たく言い放つ。
届かぬ声の先で生徒は狂った様に笑った。
どうだ、これが僕の本当の力だ…と。
ーーー
一方その頃。ゼペル・Aはベッドの上で酷い頭痛にうなされていた。
揺さぶられる様な、何か鈍器で殴られているのではないか…いや刺されているのではないか。訳の分からないような痛みの襲撃。
アンにも、教師にも…ましてや攻略対象たちにも伝えず1人で苦しんでいた。
「…あークソが」
おそらく例の生徒が事件の発端である魔法を使ったのだろうと察することはできた…が。
ゲーム内のゼペルはルナと戦う前からこんなにも酷い状態に陥っていたなんて。
「こんな状態でアレ耐えれる訳ねぇだろ…」
起きたら始まるであろう出来事の数々が起きてしまう理由を理解するのは容易だった。
(誰がこの痛み抱えながら理性残せるか、バカやろう)
大きなノイズが視界を走る。
「……ぜってぇアイツ許さねぇ」
Aの中に、とびきりの怒りと復讐心がグツグツと煮えたぎっていた。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年12月1日 18時
