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「ちょ…、レウは巡回終了の報告して講義室に戻ったら。アンは歳上目線やめなさい」
ブーブーと文句を言うアンにさっさと寮に戻るように言って、俺はレウの手を引き教師棟へ行こうとする。
An「ご主人サマ烏!その前に烏をどうにかしませんと!」
「えっどうやるの」
こうブワーッて、とアンは身振り手振りも付けて表現するが一切わからない。
空を見ればやはりカーという声も出さずに飛び続ける烏たちと妖しく浮いている月。
(とりあえず、やってみよう)
「散れ」
右手で懐中電灯のスイッチを消し流していた魔力も止め、左手を指揮者のごとく広げる。
さてどうだと烏たちの様子を見ていると、1羽、また1羽と遠くへ飛んでいく。どうやら"とりあえず"は成功したようだ。
An「かーっこいいデスわご主人サマ!今の不機嫌さも相まってさらニ闇っぽさガ…!」
re『うん、カッコいい…』
An「えエ。定期的ニ欲しクなるやつデスわ!」
レウは頭の中俺にぐちゃぐちゃにされてるから置いといて、アンは一ファンみたいな事を言う。
An「でワ!いいモノも見れましタのデ、私は寮ヘ戻りマス。3人は素敵な夜ヲ〜」
ルンルンとスカートを揺らしながらアンは寮へと帰っていった。あんなでも仕事は全て確実に終わらせてるから…ほんとお母さんだ。
(…いや、3人って?)
md「レウさん遅い」
「あれ、ミドリだ」
プリプリと何故か怒っているミドリが木の影から出てきた。アンが来た方向だったことから、ずっと出れるタイミングを窺っていたのだろうと察する。
md『1人でレイブン状態のAさんからご褒美貰うなんてズルい。転送魔法使うから早く報告書のサインしてきて』
レウの話を聞かずミドリは転送魔法を発動。一瞬で別の場所へ送ってしまった。あの状態でちゃんとサイン書けるのだろうか…。
「俺たちは講師室に向かいますか」
md『うん、でも…』
その前に味見させて?
彼はそう言って俺に魔法をかけさせる。
次に見えた瞳には真っ黒なハートと蕩けた表情だった。
md『ほんとだ、いつもより美味しいネ』
改めてレイブン時の蜜の威力を再認識させられた。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年12月1日 18時
