19話 中身 ページ20
あの後、幸ちゃんに2回も触られた頭を洗うのは凄く惜しいと思いながらも、お風呂に入った。
外が少し寒かったから、お風呂の温度がとても気持ちがいい。
鼻歌を歌いながらお風呂から出て着替える。
時計の針は9時を指していた。
放置していたお弁当箱も洗い、部屋に戻ると机の横の窓が空いていた。
普段、その窓の鍵だけは閉めていないので、おそらく犯人は幸ちゃんだろう。
私の家と幸ちゃんの家の間はたったの200cmほどしかない。
普通はありえないけど、私の両親と幸ちゃんの両親は学生時代からとても仲が良く、いわば親友だったらしい。
この家を建てる際にも、二世帯住宅にしようなどと案が出ていたそうで、流石に我に返ったのか、その案は却下された。
しかし、その名残か、家の距離をとても近くしたそうだ。
近すぎないかな...?
幸ちゃんと私の部屋は、ちょうど向かい合っているので、窓からの行き来が出来るという、漫画のようなシチュエーションなのだ。
あ、一応どっちの窓もベランダ式だよ。
『もー幸ちゃんはいっつも窓閉めないんだから』
窓を閉めようと近付くと、足元に大きめのタッパーが置いてあった。
その上にメモ用紙があり、とても男らしい字で「余ったから食え」と書かれていた。
『幸ちゃんの字汚いな〜中身なんだろう?』
タッパーの蓋を開けて見てみると、美味しそうな肉じゃがが詰めてあった。
おそらく今日の残り物だろう。
『肉じゃがだ!明日お弁当に入れようかな〜』
貰った肉じゃがを冷蔵庫に入れに行き、また部屋に戻る。
『今日は楽しかったな〜!幸ちゃんに久しぶりに会えたし、バスケも楽しかったし、幸乃さんのご飯も美味しかった!』
勉強机に向かい、私は課題を終わらせるために、シャーペンを走らせる。
『明日も幸ちゃんに会えるの嬉しいな〜』
私の独り言は、何も無い空間に消えていく。
『あ、そういえば申込用紙も書かなきゃね』
申込用紙を手に取る。
『サイズは...Sでいいか。これ以上見栄をはっても幸ちゃん笑われるしね』
幸ちゃんの笑っている姿が目に浮かぶ。
『今日は本当に楽しかったんだよ、お父さん、お母さん』
私以外は誰もいない家。
『ちょっと寂しいや』
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笠松もみじ(プロフ) - ハチ公のままさん» 面白いと言っていただきありがとうございます!そしてわざわざ間違っている所を教えてくださってありがとうございました!射手座と勘違いをしておりました...すぐに訂正させていただきます! (2017年12月30日 11時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公のまま(プロフ) - 話がとても面白いです!しかし、11月は山羊座ではないです… (2017年12月30日 10時) (レス) id: 76036e92ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年9月30日 23時