１４：100万匹の羊 ページ14
幸いと言うべきか、私達の悲鳴で誰かが起きてくる気配は感じられなかった。昨日徹夜で武器庫を見張っていたタクヤさんやずっと神経を張り詰めているコウさんが睡眠を妨害されれば嫌味を言われるどころでは済まなかっただろう…考えるんじゃなかった。
余計な思考をブンブンと頭を振って追い出し、改めてユキナリさんを見る。どうやらユキナリさんも１人で部屋から出たみたいだ。
「…で、ユウリさんは何してるの？」
「ええと…眠れなくって…ゴロゴロしたり羊を100万匹まで数えたり素数を数えたりしてみたんですけど」
「よく100万匹まで数えられたね！？」
「それでも寝られないので小難しい本でも読めば少しは眠くなるかな、と思いまして」
「……ほんとユウリさんって行動原理の振れ幅大きいよね…っていうか危ないよ。もし狼が行動してたらどうするの」
「狼が助かる方法を考えます！」
「いやその前にユウリさん殺されるからね！？ていうか俺が狼なら殺してるよ！？」
「こうやって雑談してくれてる時点でユキナリさん狼じゃないですよね？」
「そうどけどそうじゃなくて！！いきなりまともなツッコミ入れるのやめてくれる！？」
はぁあ、とユキナリさんが深くため息をつく。
…そんなにおかしなことを言っただろうか。あれ、でもまともなツッコミって…あれ？
状況が整理できずに思わず首を傾げたけれど、ユキナリさんはその話を打ち切るように小さく首を振った。
「あぁ…うん…ほんとユウリさんとリンタロウってお似合いだよね…」
「？？？今の会話の流れで何故その結論に至ったんですか…？」
「いや…こっちの話。気にしないで」
「…？ところでユキナリさんはどうしてここに？」
「ああ…俺も眠れなくって…」
「羊を100万匹数えてたんですか？」
「悪いけどそこまでの根性俺には無いよ。まぁとにかく、トイレにでも行こうかな、と」
羊の話題に明後日の方向を向いてから笑いしながらもユキナリさんが言った。
トイレ、という事は向かう先は一緒だ。羊の個別行動は狼にとって有利になる。それに、ユキナリさんと一緒なら狼を説得できる確率はグンと上がる。という事で私達は一緒に一階に向かう事になった(狼を説得する事に関しては渋い顔をされたけれど)。
しんと静まり返った廊下で、二人で歩く。ゲームが始まってからユキナリさんと二人になるのは初めてですね、と呟けば、遠い目をしたユキナリさんに「明日俺が死んでたらリンタロウが狼だと思って」と返された。
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夕霧(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます！初めから見てくださっていたとのこと、半年間も途絶えていたのに引き続き読んでくださってありがとうございます…！なるべく毎日更新していこうとおもっていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年5月16日 22時) (
レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - �気�ら見てますがとても面白いです！続きまってます♪ (2019年5月16日 7時) (レス) id: 1c94817be9 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» リクエストですか…してもらえたら嬉しいですね笑いつになるか分からないですが、参考にさせてもらいます！ (2019年5月11日 22時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ−α(プロフ) - あ、ネタはリクエストしてみてはどうですか？シチュエーションとかがわからない場合は少し書いてもらうとかもありかもですよ (2019年5月10日 21時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - ノワブラ−αさん» イタズラしてみた、とか、告白してみた、みたいな感じですかね？ネタがあればやってみます！（笑） (2019年5月9日 0時) (レス) id: 069354e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2018年8月23日 21時
