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Story10 ページ14

『キセキの世代』の誰かを入れた高校との練習試合も迫って来た中、火神さんの動きのキレも増して

いる。

「もしかしたら『キセキの世代』とかにも勝ってる……⁉」

「むしろもう超えてる⁉」

確かに、火神さんには天賦の才がある。切り返しもジャンプ力もかなり高い。でも、それで『キセキ

の世代』に勝てるかどうかは私には分からない。ただ少なくとも、お兄様には無理だ。お兄様のプレ

イは一番近くで見てきたからよく分かってる。ノートもある。でも、お兄様のプレイを超えられるも

のは今まで見つけられたことはない。だけど、やるしか道はないんだ。

「美貴ちゃん? 美貴ちゃん⁉」

「相田さん、どうかしましたか?」

「水零してる!」

「え」

ふとして手元を見ると、スポドリ容器に注いでいたはずの水が私の腕を伝って床へと零れ落ちてい

た。

「すみません! すぐ拭きます!」

部室から持って来た雑巾で体育館の床を拭き取る。被害を広げないよう気を付けながら次の練習試合

の相手についての相田さんの説明に耳を澄ませた。

「次の練習試合の相手は海常高校よ! 相手にとって不足なし! 一年生もガンガン使ってくよ!」

「不足どころかすげえ格上じゃねーか…」

「そんな強いんですか?」

「全国クラスの強豪校だよ。I・Hとか毎年フツーに出とる。」

「ええっ⁉」

「それよりカントク、帰って来た時言ってたアレ、マジ?」

「もちろん!」

ん? アレ?

「アレって何ですか?」

「あ、美貴ちゃんはいなかったかも。改めて言うわね。」

床掃除を終えて立ち上がる。周りの表情を見てみると火神さんもよく知らないみたいだ。

「海常は今年『キセキの世代』の一人、黄瀬涼太を獲得したトコよ。」

その名前を聞いた瞬間に、体育館の全員がざわめく。涼太さん。神奈川の高校に行ったとは聞いてた

けど海常に行ってたとは。タイプではないけど確かにかっこよかったし、モデルの仕事もしてた。だ

けど私は、モデルをしていない頃の彼の方が好きだった。

「……にしても今日、騒がしくないですか?」

基本活動中はバスケ部の部員しかいないはずの体育館に他の女子の声が響く。周囲に目を向けてみれ

ば大勢の女子が体育館に集まっていた。

「何⁉ なんでこんなギャラリーできてんの⁉」

「あーもー…こんなつもりじゃなかったんだけど…」

「……お久しぶりです。」

テツヤさんが挨拶する先には、黄色い髪の彼が座っていた。

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作者名:ソナタ | 作成日時:2020年9月14日 20時

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