19話_あなたの為にわがまま。 ページ22
病院を出ると独歩さんのスマホに連絡が入り、それを見た彼は、「あ」と声を出した。
え？
独「一二三、俺の体調が悪いからってわざわざ仕事休んで家で待ってるらしい。……あいつ、スーツ着たら仕事が命みたいなもんなのに……。」
『いい人なんですね。』
独「あぁ、まあな。多分Aちゃんも惚れるよ。あいつは」
もう惚れてます。
独「着いたぞ。」
めっちゃでかかった。
まあそりゃそうか。
No.1ホストと医療系の会社の自宅だもんな。
そうかそうか。(？)
独「ちょっとここで待っててくれるか。……ただいま、一二三。」
部屋の奥から小さく声が聞こえてくる。
伊「お〜、独歩ちんおかえり〜っ！もう、いきなり熱出たとか言うからマージびびったぜ〜。」
独「悪い。わざわざ仕事も休んでもらって。ところで、客がいるんだ。道端で蹲ってる俺を病院まで運んでくれた人。」
ちょっと盛ってるやん。
伊「客ぅ？別に、独歩が連れてくるくらいだからいい奴なんだろうけどさあ、その客って、まさか女の子じゃないよね〜？」
女です。
独「……。」
伊「…………えっ、マジで？」
独「……スーツ、着るなら着とけ。」
いやなんかすみません。
でも会いたい。
独「待たせて悪い。入ってくれ……。」
『おじゃまします。』
めっっっさ広いやんけ。
いや、私の部屋と同じくらい？
あ、スーツを着た一二三と目があった。
『あ、どうもお邪魔してます。あかつ』
伊「やぁ、子猫ちゃん。僕は伊弉冊一二三です、よろしくね。君は僕の親友である独歩くんを助けてくれたんだろう？本当に感謝しているよ。そこで、何かお礼をさせてくれないか。僕の勤めているホストクラブが歌舞伎町にあるんだが、今夜にでも来て欲しい。これはお礼なので無論、お金は持って来なくて大丈夫さ。」
遮られる&マシンガントーク。
行きますとも？？
独「お、おい！Aちゃんはまだ未成年だろ！？」
『一応20歳です。』
独「嘘だろ！？」
『私暁Aです。あの、あなた女性恐怖症なんですよね。独歩さんに聞きました。そうは見えません。』
初対面の人なら誰しもが疑問に思うような事を質問しておく。
念のため。ね
独「あー、と、色々あってな……」
伊「実は、このスーツを着ると、僕はホストモードになる事ができるのだよ、子猫ちゃん。」
ちょっとわがままを言ってみよう。
いや、これは伊弉冊さんの為のわがまま？
『じゃあ、私、スーツ着てない伊弉冊さんと話がしたいです。』
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作者名：雪兎 | 作成日時：2019年7月16日 2時
