17話_天使を見た。 ページ20
独歩side
俺は、連勤明け、やっとの休みに熱を出してしまった。
なんて失態。
病院に行こうと思って家を出たはいいものの、目眩が酷く、道端にしゃがみ込んでしまった。
誰もが、こんな俺を見ては早足に通り過ぎていく。
まるで、世界に俺が必要とされていない事の証明のようで、憂鬱な気分になる。
そんな時、俺に話しかけてきた女の子がいた。
天使だと思った。
俺、疲れすぎたか?それとも、この子が疲れているのか。
話を聞くところによると、この子も病院に行く途中で道に迷ってしまったらしい。
名乗ったとき、思わず職業まで言ってしまった。
彼女はリーマンの辛さを理解してくれているらしい。
そんな彼女の優しさに甘えて、愚痴ってしまった。
初対面だからこそ、汚れなんて知らない若い女の子だからこそ、道端に蹲っている俺なんかを助けてくれた彼女だからこそ、言ってしまったのかもしれない。
期待したのかもしれない。
散々言ってから気づいて、もう遅いと思った。
引いたに決まってる。
会ったばかりのおっさんに愚痴られて。
あぁ、またやってしまった。
彼女が今日、嫌な思いをするのは俺のせい。
しかし、返ってきた言葉は思っていたものとは違った。
彼女は俺を認めてくれると言った。
何だか、せめて明日までは生きていける気がした。
一二三と先生、それに、彼女、暁さんがいてくれるのなら。
独りで歩いていこうと決めていたのに、最近は揺らいでばかりいる。
人生の終わりの時、悲しむ要素が増えるだけで、迷惑なのに、その、終わる時まで、悲しむ時まで、それ以上に楽しむのも良いかもしれない。
18話_お久しぶりですね。→←16話_あなたの笑顔が見てみたいです。
137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪兎 | 作成日時:2019年7月16日 2時