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第4話。 ページ5

土日は嫌だ。

だって学校に行けないから。

そして、田ノ浦くんに会えないから。

最近、土日は家でシンお兄ちゃんとナツメさんがバンドの練習をしてるから外に出るのは難しい。

私が隙を見て一歩踏み出せば簡単に外に出られるのに。

どうやら私はその勇気を持ち合わせてはいないみたいだ。

今頃田ノ浦くん…試合頑張ってるのかな?

得点いっぱい入れてみんなに注目されてるのかな?

田ノ浦くん、凄くかっこいいし優しいし…

私よりいい子なんていっぱいいるんだから、そっちに行っちゃうかもしれない。

嫌だな…

そんなの絶対に耐えられないよ。

別に田ノ浦くんのことを疑っているわけじゃないのに。

家にいるとなんだかネガティブな気持ちになって、もっと自分が嫌いになる。

田ノ浦くん…早く貴方に会いたいよ。




「出かけないの?」

そんな声でふと目を覚ます。

やだ、私…もしかして寝ちゃってた?

机の上にある時計で時刻を確認するとあれから1時間以上経っていた。

「宿題があるので」

私は部屋のドアに寄りかかっているナツメさんに背を向けて慌てて適当な教科書を開いた。

「ふーん」

なんなの、この人。

用がないなら早く出て行ってよ。

私…なんかシンお兄ちゃんが2人いるような気持ちになる同じ雰囲気の貴方が凄く苦手なの。

「友達いないんだ?」

「……」

ほっといてよ。

別に貴方には関係ないでしょ。

「とりあえず、今…シン出かけてるから。それを伝えに来ただけ」

ナツメさんはそういうと、

「あと、その教科書。それ、保健体育だから。あんた、一体なんの勉強してんの?」

と付け加えて部屋を出て行った。

ほんっとうに嫌な人!!

私はそんなことを思いながら保健の教科書を乱暴に引き出しにしまった。



コンッ

ん?

今なんか、窓に当たったような…。

「もしかして…っ」

ガラッ

私はすぐにそれを察して窓を開けた。

やっぱり…

「田ノ浦くんっ!」

私がその名を呼ぶと、彼は、

「一回戦突破」

と指でVサインを作った。

「すごいね、おめでとう」

「当たり前だろ、じゃあ…それだけ伝えに来ただけだから」

彼はそういうと大きなバッグを背負って私に背を向けた。

わざわざ、ここまでそれを伝えに来てくれたの?

どうしよう…凄く嬉しい。





試合に勝ったのは勿論だけど…

貴方がここに会いに来てくれたことが、

貴方を一目見れたことが、


今の私にとってはこれ以上にないくらいの凄く、凄く嬉しい出来事だったの。

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クロ - 久しぶりです! 少し来れてなくて....更新してくれて嬉しいです感激で語彙力が (2019年8月18日 13時) (レス) id: df4019f8a8 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - えだまめさん» わぁ、えだまめさんお久しぶりです!!part2までどうもありがとうございます!!part3でも元気をもらえたら嬉しいです!またお待ちしてます! (2019年6月4日 4時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 二度目のコメント失礼致します…!お忙しい中part2更新お疲れ様でした!ドキドキの展開で完結まで楽しみです!part3も楽しみにしております! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 83643b9572 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 夜道さん» 夜道さん、コメントありがとうございます!part3はお兄ちゃんたちのことをメインで書いていこうと思うので最後まで見守っていただけると嬉しいです! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - リリム@MEIKO廃さん» リリム様、コメントありがとうございます!すごく嬉しいお言葉感謝します!part3でまたお会い出来ることを楽しみにしています! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年8月15日 23時

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