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第8話。 ページ9

6組の田ノ浦蓮。

学校の事情に疎い私でも知っている。

強豪校のサッカー部のエースってだけでモテるのに、彼はかなりのイケメンでもあるのだ。

彼が私のクラスを通るたびにいつも女子達が騒いでいた。

多分、学年で一番モテる男の子だ。



ガチャッ

私は静かに家の扉を開け、音を立てないように誰もいないリビングに向かった。

私の家は他の家と違って母が死んだ日からお父さんにその月の食費をもらって自分たちで管理するようになっている。

私はリビングで適当にご飯を食べて二階へ上がった。



バタンッ

私が帰って来てしばらくすると、誰が帰って来た音がした。

どんなに深く眠っていても必ずこの音で目を覚ます私が情けない。

タンタンタンッ

今度は階段を上がってくる足音。

二階に上がってくるということは、まずお父さんはありえない。

だとしたらどっち?

私が帰って来たときはどっちも居なかったはず…

その足音はこうして考えている間にも私の部屋へ近づいて来ている。

怖い…

何度経験してもちっとも慣れない。

ガチャッ

部屋が空いた。

「寝てんの?」

この無駄に優しくて甘い声…

ミユキお兄ちゃんだ。

「ほら、顔見せて」

お兄ちゃんはそう言って優しく私の布団を剥いだ。

「起きてんじゃん」

「ミユキお兄ちゃん…」

「おかえりは?」

「おかえり…」

私がそういうと、お兄ちゃんは私の頬を優しく撫でた。

なんだか今日は機嫌がいいみたいだ。

そう思っていると、ドアからひょっこりと女の人が顔を出した。

「今晩わ〜、寝てるのにごめんね!」

「こ、今晩わ…」

私は急な事態に頭が追いつかず、つい言葉を噛んでしまった。

「A、紹介するよ。彼女のカナだ。」

「よろしくね!」

そういうと彼女は綺麗な唇を上にあげて綺麗に笑った。

そっか…お兄ちゃんがこんなに機嫌がいいのはそういうことだったんだ。

「よろしくお願いします。」

私は無理に笑顔を作って笑った。

「私がどうしても会いたいっていったの…それにしても噂どうり本当に可愛いね!」

「ど、どうも…」

「うちのクラスの男子が貴方を街で見かけて凄く騒いでたんだよ〜」

「カナ、もう俺の部屋に行くぞ。」

「え〜もっと妹ちゃんと話したい〜」

「だーめ」

お兄ちゃんは可愛く駄々をこねるカナさんを半端、引きずる形で部屋を出ていった。


本当に可愛い人だった…

お兄ちゃんは彼女の前ではあんなに優しく笑うんだ。


ねぇ…私、ちゃんと笑えてた?

*第2章。(蓮)→←第7話。



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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです!!!! もう感動して泣きましたよー!! part 2も頑張ってください! (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます!!そのコメントに元気をもらいました!! Part2の方もどうぞよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません!笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます!夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年4月20日 4時

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