義兄は私を嫌っている。

第2話。 ページ46

「渡辺さん泣かしたのお前だろ？」

友達と話していた私の所へ蓮は突然やってきた。

「何のこと？」

私は出来るだけ冷静に答える。

「惚けんじゃねぇよ、もうお前とは縁切るわ」

蓮はそう短く告げて私の教室から出て行った。

やめて、行かないで。

私は急いで彼を追いかける。

「待って蓮！！」

「触んな。」

でも、彼は私を冷たく突き放した。

ずっと、無理やりではあるけどあんたと一緒にいた私をこんなに簡単に突き放すの？

蓮にとって、私の価値はこんなもんなんだ。

いやだ。

こんな終わり方、いやだよ。

「好きなの、蓮！あんたが好きなの！」

四年の思いをこんな形で蓮に伝えるとは夢にも思ってなかった。

でも蓮、私の気持ちに気付いてたんでしょう？

ずっと気づいてて知らないふりをしてたんでしょう？

「ごめん、無理だわ」




蓮…

私、あんたのためにずっと頑張って来たんだよ？

そんな私をこんなにふうに…

私はもう一度蓮を追いかけ、その腕にしがみついた。

「諦めるから…ちゃんと諦めるから、私を抱いて！！一度でいいの…ねぇ、蓮…」

「あやか、一回落ち着け。みんな見てるから」

「そんなの、どうだっていい！！ねぇお願い…気持ちがなくてもいいから、私を抱いて…」

遊びでもいい。

酷く扱われたって構わない。

最後にあんたとの思い出が欲しいの。

「やめろって！もうそうゆーのやめたんだよ。」

今まで一度も見たことないような冷たい目。

それすらもダメだっていうの？

もしかしたら、これが本当の蓮なのかもしれない。

今までのは全部嘘だったんだ。

あんたの優しい言葉も、頭を撫でてくれる優しい手も…



終わった…

初恋は実らないって誰かが言ってたけど、こんなに苦しいとは誰も教えてくれなかった。




私は立ち去る蓮を追いかけることができずみんなが見ている廊下で惨めに泣き崩れた。

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